第百二話 第二次国境会戦(前)
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……敵旗艦照合…戦艦ヒューベリオン、叛乱軍第一艦隊の模様」
戦艦ヒューベリオン…ヤン・ウェンリーの艦隊か…。
「各分艦隊は本隊に合流せよ。合流後は横陣で対処する、急げ!」
「閣下、副司令長官はかのウィンチェスターだけではなくヤン・ウェンリーをも高く評価していると聞いております。注意が必要かと」
「ドロイゼン、その二人に係わらず注意の必要の無い敵などいないぞ。まあ卿の進言通り、特に注意する事としよう…ディッケル参謀長、副司令長官の援軍到着まであと如何ほどだ?俺の予想では後五時間といったところだが」
「はい、閣下の予測通りあと五時間程で到着します。規模は三個艦隊、副司令長官麾下の全軍です」
予想はしていたが、有志連合軍の助力は得られなかった様だな…こちらに麾下の全軍を振り向けるという事は、短期間の内にアムリッツァから出てきた叛乱軍主力を叩こうという腹づもりだろう。その分ロイエンタールには負担がかかるか…。
「ボーデンには叛乱軍二個艦隊が居るのだったな」
「はい。敵の艦隊数を見ますと、アムリッツァには一個艦隊を残しているのではないかと」
「さもあろう…叛乱軍も流石にハーンからの線は捨て切れまい」
両軍共に今まで無視していたハーン宙域からの航路が、今では帝国に有利に働いている。辺境への主要航路からは外れているハーン回りの航路から先年帝国軍が進攻した結果、叛乱軍はアムリッツァに肉薄され一個艦隊壊滅という手痛い損害を出した。その結果、叛乱軍はアムリッツァを空にする事は出来なくなった。無論我々もハーンからアムリッツアを伺う事は難しくなったが、それはボーデン、フォルゲンに向かう叛乱軍兵力が減少する事を意味していた。
「戦わずともよいのだ。有志連合軍さえ動けば千載一遇の好機だったのだがな。奴等は違う銀河で戦っているのか」
「閣下…」
「卿の言いたい事は分かる、誹謗と取られてはと言うのだろう。分かっているよ」
14:30
自由惑星同盟軍、第一艦隊旗艦ヒューベリオン、
ヤン・ウェンリー
「どうもしぶといね、敵さんは」
「ああ。後退のタイミングが巧妙で、こちらの右翼に迂回する隙を見せない。右翼による迂回は諦めた方がいいんじゃないか?現状のままでも充分に損害を与える事は可能だし、敵は既に七千隻程度までに減少しているぞ」
ラップの進言は尤もな物だった。無理をせずともこのまま損害を敵に強いる事は可能だ。だが願わくば撤退を決定づける一撃を帝国軍に与えたいとも思う…優勢に戦えているからだろうか、そういう欲が出てしまうのだ。敵がこれ程頑強に戦えているのは、援軍の来援時期が近いからだろう。おそらくミューゼル大将の率いる全軍が現れるに違いない…そうなると眼前の敵は予備という形で援軍の後方に下がるだろう。これ程しぶとく戦う艦隊が七千隻という兵力を擁
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