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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
第百二話 第二次国境会戦(前)
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る…事前に聞いた話ではその計画だった筈だ。
「何をやってやがるんだ、あいつ等は」
ラップが頭を抱えていた。第七艦隊は左翼と正面から攻撃を受けていた。迂回しようとしていた第八艦隊もその意図を見抜かれていたのだろう、三千隻程の小集団に足止めされていた。帝国軍は一個艦隊で我々の二個艦隊と互角に戦っている…。
「彼等に無理するなと言ったのは私なんだから、そう怒らなくてもいいよ…大尉、敵の司令官のデータはあるかい?」
グリーンヒル大尉に問うと、大尉はユリアンと共に管制卓を操作し始めた。ユリアンに機器の操作法を教えている様だ。そしてそのまま二人で私の傍らに立つ。
「第八艦隊からの情報によりますと、交戦中の帝国艦隊の司令官はウォルフガング・ミッターマイヤー中将、ミューゼル軍所属…とあります」
私の前に帝国軍の軍人の立像が映し出された。
「へえ、これが噂のミッターマイヤー中将か」
「ご存知なのですか?」
「ウィンチェスター副司令長官が教えてくれたんだよ。敵のミューゼル大将麾下の軍人達…特にミッターマイヤー、あとロイエンタール…この二人には特に気をつけろ、ってね」
「そうなのですか」
「ミッターマイヤー中将の用兵は、神速にして理に叶う、だそうだ」
話の内容が気になったのだろう、ラップも近寄ってきた。
「あの、第八艦隊の足止めをしている小集団の指揮官は、誰か分かるかい?」
今度はユリアンが管制卓を操作する。
「…ミッターマイヤー艦隊所属、カール・グスタフ・ケンプ少将とあります」
再び立像が表示された。
「…ごっついな。うちのパトリチェフ少佐よりでかいんじゃないのか……元撃墜王?この図体でよく単座戦闘艇(スパルタニアン)のコックピットに収まったもんだ」
ラップの感想に妙に納得してしまった…おそらく近接戦闘に一日の長があるのだろう、でなければ三千隻で一個艦隊の足止めは難しい。
「しかし、よく敵の司令官達の立体画像なんて手に入れたもんだ」
ラップがそう言うと、グリーンヒル大尉が再び管制卓を操作し始めた。
「…副司令長官によりますと、フェザーンに派遣している現地情報員からの情報だそうです」
なるほど…彼はフェザーンに情報部員を派遣していたな、確かバグダッシュという…。
「他にもあるのかな」
そう言うと今度はラップ自身が管制卓を操作し始めた。
「お、両目の色が違うぞ…オッドアイの色男だな。オスカー・フォン・ロイエンタール中将…」
極めて高い水準で智勇の均衡の取れた良将…弱点らしい弱点はないが、敢えて弱点をあげるとすれば漁色家で女運がない…なんだこれは…。
「これは副司令長官の評なのでしょうか」
グリーンヒル大尉も首を傾げている。
「だろうね。どうやって調べたのか知らないが、女運がないのは私と同じだな」
私以外の皆が驚いた顔をす
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