第百二話 第二次国境会戦(前)
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帝国暦487年7月20日07:00
ボーデン宙域、ボーデン星系、銀河帝国、銀河帝国軍、
ロイエンタール艦隊旗艦トリスタン、
オスカー・フォン・ロイエンタール
「叛乱軍、第十一艦隊が再び現れました!…十二時方向、二千光秒、およそ一万四千から一万五千隻…強行偵察の戦闘艇八十七号艇、撃破された模様」
オペレータの報告の示すものは明白だった。敵はやる気という事だ。
「参謀長、全艦戦闘配備。各分艦隊は基本陣形のまま待機せよ」
「はっ……全艦戦闘配備!各分艦隊は別命あるまで待機せよ!……閣下、叛乱軍はやる気とみえますな」
「そうだな。ヴィンクラー、ヘルクスハイマー艦隊には後退の準備をしろと伝えよ」
「後退させるのですか?ヘルクスハイマー艦隊はアルテンブルガー星系に位置しています。寧ろ目の届く位置に移動して貰った方が…」
参謀長の意図は理解できる、ヘルクスハイマー艦隊には戦闘に参加させずとも後方で待機してもらい、予備兵力にみせかけようというのだろう。
「それでは駄目だ…参謀長、卿の意図は理解出来るが、それでは叛乱軍を引き付けられない。我々に予備兵力が存在すると思わせては叛乱軍の攻撃の意図は鈍るだろう。向こうが折角やる気になってくれたのだから、交戦状態に持ち込んで敵の動きを掣肘するのだ。それに伯爵家の艦隊に命令など出来ん」
「……はっ」
「そう青い顔をするな参謀長。叛乱軍などより貴族達の方が余程扱いづらいのだ…信頼出来ぬ味方を当てにするより最初から自分達だけで戦った方が己の裁量で動けるというものだ。そうではないか?」
7月20日09:00
フォルゲン宙域、ヴァルトブルク星系、銀河帝国軍、
ミッターマイヤー艦隊旗艦ベオウルフ、
ウォルフガング・ミッターマイヤー
「敵艦隊…二個艦隊規模、およそ三万隻…おそらく叛乱軍第七、第八艦隊と思われます…十時方向、千六百光秒」
「予想はしていたが最初から倍の敵と戦わねばならんとはな…参謀長、バイエルライン、ジンツァー、そしてレマーの三人と回線を繋げ」
少しの間をおいて三人の顔が映し出された。
”閣下、お呼びでしょうか“
三人のうち、代表してバイエルラインが応答する。
「叛乱軍との距離が縮まったなら、卿等三人は本隊より離れて敵の左翼を窺う様に行動せよ」
”それでは本隊が手薄になりませんか“
「元々手薄なのだから仕方ない。卿等は敵の左翼から横撃を企図している様にみせかけるのだ、だが無理に強攻する必要はない。距離をとって攻撃し足止めに徹するのだ」
”なるほど…了解致しました“
「本隊から別れるタイミングは追って指示する。抜かるなよ」
”はっ!“
叛乱軍の二つの艦隊は縦に陣形を組んでいる…前衛の艦隊が我々を拘束
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