暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第234話:未熟な目覚め
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空腹や眠気に襲われる様な事は無いが、疲れるものは疲れる。それにプールされていた魔力が無い今、再び戦闘になってもウィザードギアブレイブにはなれない。この状態で未来を救い出しキャロル達まで回収しなければならないとなると、ちょっと気分が重くなった。

 それでもやらない訳にはいかないと自分に言い聞かせ、重い腰を物理的に持ち上げようと足に力を入れようとした瞬間、眼前に手を差し伸べられた。

「ん? おぉ、悪い……な?」

 奏は最初、それをヴァネッサの手だと思った。こんな状況だが一応は共闘した仲だ、少しくらい砕けた接し方になっても良いとその手を掴んで顔を上げる。
 だが顔を上げた彼女の目に映ったのは、ヴァネッサの顔ではなくダウルダブラを纏った成人女性の姿となったキャロルであった。今のキャロルの姿に奏は目を二回ほど瞬きさせ、視線も上下に二往復させると顎が外れたかのように口をポカンと開けたまま動かなくなる。

「あ、え……?」
「何をそんな間抜け面をしている。立花 響でもあるまいに」

 何気に響が聞けばショックを受けそうな事を口にするキャロルに、漸く思考が動き出した奏は震える指で目の前のキャロルを指差しながら言葉を口にした。

「そ、の姿って…………え? お前、記憶が……」
「あぁ、お陰様でな」
「俺も居るぞ」
「んなぁっ!?」

 キャロルの隣にはビーストに変身したままのハンスの姿もあった。キャロルが大人の姿でダウルダブラを纏っているというだけでなく、ハンスまでもが目覚めているという状況に奏は今度こそ言葉を失ってしまう。

 その一方で、色々な意味で戻ってきたキャロルとハンスの姿に歓喜したのがファラとレイアであった。

「マスター!」
「よくお戻りになられました!」
「あぁ、すまなかったな」
「俺が動けなかった時、よくキャロルの事を守ってくれたな」

 傷付きながらも喜びを露にするオートスコアラー達に、キャロルは奏の腕を引っ張り上げる様に立ち上がらせるとそちらに向かい横たわっているファラを抱き上げた。その後に続きレイアに近付いたハンスの腕の中には、半壊して動かなくなったガリィとボロボロのミカの姿があった。

「ガリィ……それに、ミカ……お前達も派手に頑張ったらしいな」
「安心しろ、完全に壊れた訳じゃない。想い出が切れて動かなくなっただけだ」
「あぁ、必ず直す。尤も、その前に色々とやらねばならない事はあるがな」

 そう言ってキャロルは視線をヴァネッサ達の方へと向けた。底冷えするようなキャロルと仮面に隠れて尚感じられる肉食獣の様な視線に、ヴァネッサはエルザとミラアルクを守る様に抱きしめる。

 それを見た奏は、流石にこのままではマズイかと仲裁するように両者の間に割って入った。

「待て待て待て
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