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剣の丘に花は咲く 
第六章 贖罪の炎赤石
第二話 姉妹
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隙間から身体を出している。
 幼い頃から魔法がまともに使うことは出来ず、フライもレビテーションもほとんど使ったことがなかった。だから、こんな風に、森を見下ろすのは初めてであった。屋敷や城から見下ろすのとは違う目の前に広がる光景は、身震いするほど美しい。

「見とれるのはいいんだが、まずは雛を元の場所に戻そうか」
「っあ! は、はい、そうですね。それで、巣はどこに」
「ここだな」

 そう言って士郎は膝を曲げると、カトレアの視線と巣の高さを合わせる。カトレアの目の前にきた巣には、拾った雛と同じ種類の雛が巣の中で眠っている。そこに親鳥の姿はない。どうやら餌を取りにいったのだろう。
 
「親鳥が戻って来る前に戻そうか」
「はい」

 士郎にお姫様抱っこされながら、カトレアは眠っている雛達を起こさないようそっと雛を巣に戻す。カトレアの手の平から巣に戻された雛は、ぴよぴよと鳴きながら左右を見渡し……電池が切れたように眠り始めた。 
    
「ふふ……かわいい。鳴き疲れて眠むっちゃった」
「これは大物になるな。この高さから落ちて直ぐに寝れるとは」
「……あの、し、シロウさん……でいいんですよね」
「ん? ああ、そう言えば自己紹介がまだたったな」

 士郎は軽くカトレアを抱え直すと、腕の中にいるカトレアを見下ろす。

「俺の名前は衛宮士郎。ルイズの使い魔だ。さっきみたいに士郎と呼んでくれ」
「はい、わかりましたシロウさん。それでは、わたしのことはカトレアと呼んでください」
「いいのか?」
「はい、構いません。わたしはそういうのは気にしない方なので……でもシロウさんもそういうことを気にするんですね。先程から随分砕けた喋り方だったので、そういうのは気にしない方だと」
「……すまない……少し気が緩んでいたみたいだ……」

 肩を落とし謝る士郎に、カトレアは小さく笑いながら首を振る。

「くすくす……さっきも言いましたが、わたしはそういうのは気にしないのでこのままでいいです……いえ、この方がいいです」
「何だって?」

 最後にカトレアが呟いた言葉が聞こえず聞き返す士郎に、カトレアは小さく笑みを返す。

「何でもありません。でも、わたしはいいですが、父さまや母さま、エレオノール姉さまには注意してくださいね」
「ああ、了解した。忠告心に留めておくよ」
「……はい」




 沈黙が落ちる。しかし、嫌な気はしない。
 時折吹く穏やかな風は冷たいが、気になることはなかった。自分の腰と足に回された腕は硬く、身を寄せる身体は厚かったが、優しく包み込むように抱きしめてくれる彼の身体が、まるで暖炉のように暖かいからだ。
 急に抱えられた時は、父親にもされたことのない初めての経験に戸惑い慌ててしまったが、不安
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