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剣の丘に花は咲く 
第六章 贖罪の炎赤石
第二話 姉妹
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レアは士郎が消えていった森の奥を眺め……

「……何だか……胸が、苦しい……」

 ぎゅっと服がシワになるほど胸を掴みながら、

「……でも……とてもいい気分……」

 赤く染まった顔で華のような笑みを浮かべた。











「ふ……ぁ〜ああ……眠い」

 城の一角にある自分の部屋の窓を開けると、エレオノールは大きなあくびをしながら大きく伸びをした。伸びをする手に持っているのは、眠気を犠牲にして手に入れた研究結果だ。
 エレオノールは王立魔法研究所、通称『アカデミー』に勤めているのだが、ルイズを連れて来いと母親に命令され、研究途中でルイズを連れに魔法学院に行ったのだ。一応資料は持ってきていたため、空いた時間を利用して研究を続けていたのだが、思った以上に研究が進み、結果……。

「……眠い」

 寝不足となった。
 研究結果を握り締めうんっと背を伸ばしていると、窓から一際強い風が吹き込んできた。

「もうっ! 髪が乱れッ――あ……ああ――ッ!!」

 吹き込んできた風で乱れる髪を抑えようとした瞬間、握りしめていた研究結果の一部が風にまかれて窓の外に飛んでいった。反射的に取ろうと手を伸ばしたエレオノールだったが、

「ちょっ! 待ちなさ……あれ……ひっ」

 窓から身を乗り出しすぎ……落ちていった。

「ひぃっ! っきゃああああああああああ」

 轟々と風が通り過ぎ、内蔵が持ち上がる。手には見事研究結果を手に入れたが、その結果は地面への急降下。最悪なことに杖はない。エレオノールの脳裏に死の一文字が浮かぶ。
 反射的に身体を縮めたエレオノールは、ぎゅっと身体を抱きしめながら悲鳴を上げる。
 もうダメ! と心の中で叫んだ瞬間、ザグンっ! という鈍い音が響くと同時に、内蔵が押し下がった。

「大丈夫か」

 力強い何かが身体に回される感触と、落ち着いた低い声に恐る恐ると目を開けるエレオノールの目に、

「へ?」
「どうした?」

 浅黒い肌の男がいた。



 

 エレオノールが窓から落ちる数分前、士郎は修練を終え、森から出ようとしていた。森を抜けた士郎は、朝日に照らされる城の威容を、折角だから改めて眺めてみようと顔を上げ、そこでエレオノールが窓から落ちる瞬間を目撃したのだ。

「なっ!? 何やってるんだあいつはっ!!?」

 悲鳴を上げながら落ちていくエレオノールに向かって、士郎は身体を強化し、「何だか随分と久しぶりな気が」と呟くデルフリンガーが無視しながら抜き放つと駆け出していった。







「君は一体何をやっているんだ」
「な、誰よあんたっ! 何してるの離れなさい!!」
「待てッ! 落ち着け! 下を見ろ下
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