第六章 贖罪の炎赤石
第二話 姉妹
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縮め、俯いてみせるカトレアに、士郎は語りかける。
「え?」
耳に入った言葉の意味がわからないというように、のろのろと顔を上げたカトレアの顔には、疑問の表情が浮かんでいる。そんなカトレアに、士郎は笑いかけた。
「ルイズなら、ここで俺に命令するぞ」
「めい、れい?」
「『あの小鳥を追いかけなさいっ』とな」
「でも……それはルイズがあなたの主だから」
「……それもあるだろうが、それだけじゃない」
「それだけじゃない?」
見上げてくるカトレアに向けていた笑みを苦笑いに変える。
「ルイズはな、我侭なんだ」
「わが、まま?」
「そうだ、まあ、最近は少し収まってきたが……昔はそれはもう酷かったぞ」
「ふふ……そうですか」
「ああ、そうなんだ。それに、姉のエレオノール嬢も我侭だったな」
「エレオノール姉さまもですか?」
「……ああ」
士郎は昔を思い出すように目を閉じると、エレオノールが学園にやってきた時のことを思い出した。
シエスタの手伝いをしていると、ルイズを引きずりながら現れたエレオノールが、『ついてきなさい』と一言命令して歩き去っていったのだ。状況が把握出来ず立ち尽くしていると、振り返りもせずエレオノールは隣にいたシエスタにも『あなたもついてきなさい』と命令すると、止める学園長を一顧だにせず停めていた馬車に乗り込んでいった。その際、一言の説明もなしで。事情は説得を諦めた学園長に聞いた。
「……あれは我侭とはいわないか」
「ふふふ、エレオノール姉さま母さま似だから」
「……急に君たちの母親と関わりたくなくなった」
「ふっふふ……それは困りましたね」
「困る? 何故だ」
「……あれ? 何ででしょう?」
「いや、俺が聞きたいんだが」
「……あれ?」
子犬のように純粋な瞳で見上げ、首を傾げてくるカトレアに、士郎も同じように首を傾げる。
しかし、話しが逸れたとばかりに顔を振ると、あれあれ? と未だ首を傾げるカトレアに苦笑いを向けた。
「話しがそれたが。つまり俺が言いたいことはだな……君はもう少し我侭になってもいいんじゃないかということだ」
「わが、ままにですか?」
どう言う意味だろうと悩むカトレアに、士郎は顔で飛び回る小鳥を示す。
「そうだ……あの鳥と遊びたいのだろう?」
「でも……それでは、シロウさんに迷惑が……」
「ふむ、確かに君を抱えながら飛び回るのはいささか大変だが……」
「……そう、ですよね……」
どこか残念そうな顔になるカトレアに、士郎は惚けた顔を向ける。
「まあ、無理ではないな」
「え? それは、どういう……」
「大変だが無理じゃないと言っている……でだ、どうする?」
「どうする……とは?」
「大変だが無理ではないと
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