第六章 贖罪の炎赤石
第二話 姉妹
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見た後、未だ雛達が眠る巣を見下ろし、士郎の顔を見上げた。
「……あなたは……本当に馬鹿な人ですね」
「……良く言われる」
三度目の沈黙が、二人の間に満ちる。
三度目の沈黙は……何処か気恥ずかしい
二人の顔はそれぞれ別の方向を向いている。
二人共何も言わない……言えないでいた。
気恥かしさと、何処か心地よい甘い痛みに、カトレアは火照る頬を隠すように両手で挟んでいる。
そんな三度目の沈黙を破ったのは、第三者だった。
――チチチチッ――
「ぁ……小鳥、さん?」
「ん? ああ、親鳥みたいだな」
掌サイズの小さな青い色の小鳥が2羽、ぐるぐるとカトレアと士郎の周りを飛び回っていた。二羽の小鳥は、可愛らしい声で鳴きながら、じゃれつくように飛んでいる。巣の近くにいるというのに、威嚇してくる様子がみえないことに、士郎が苦笑を浮かべた。
「随分と人懐こい鳥だな?」
「……もしかして……この子」
カトレアが飛び回る小鳥に向けて片手を差し出す。小鳥は差し出された手とカトレアの顔を交互に何度も見返すと、
「……ふふ……お久しぶりです……元気だったみたいですね」
「知っているのか?」
「ええ。昔、助けたことがある小鳥たちです」
「……よくわかったな」
カトレアの手の平の上にチョコンと乗った小鳥と、そこらに飛んでいる小鳥がどう違うか士郎にはわからず、それを見分けたカトレアに感心の目を向ける。
「ん〜……何となく、ですね。でも、多分間違いないですよ」
カトレアは顎に指を当てると、小首を傾げながらもうんうんと頷いてみせた。
「あら? ふふふ……どうしたの? もうっ……こら、くすぐったいわ」
小鳥たちは掌から飛び立つと、カトレアの肩や胸、頭などを歩き回る。ちょこちょこと歩き回る小鳥たちの感触に、カトレアがくすぐったそうに笑う。
――チチチッ――
カトレアの身体から離れた小鳥たちは、カトレアの顔の前で一つ小さく鳴くと、少し離れた場所に飛び上がった。
――チチチッ――
そして、また小鳥たちは鳴く。
それはまるで、一緒に遊ぼうと誘うかのように……。
「……どうする?」
「……え? どうするって、それは、どういう……」
誘うように鳴く小鳥たちを、また、どこか寂しげな目で見ていたカトレアに、士郎は小さく問う。カトレアが戸惑うような顔を士郎に向ける。士郎はカトレアを抱きながら器用に肩を竦めると、再度腕の中のカトレアに問いかけた。
「あの鳥たちは君を誘っているようだが……どうする?」
「で、でも、わたしは……飛べません……」
「……君は……もう少し我侭になってもいいんじゃないか」
士郎の腕の中で小さく身体を
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