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実の親がいなくても
第一章

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                実の親がいなくても
 加藤修一と修二は双子である、二人共細い目と長方形の顔を持ち唇はやや尖っていて黒髪をスポーツ刈りにしている。地元の小学校の六年生だが。
「お前等等あの教会の子供なんだな」
「そうだよ」
「天理教のな」
 二子は共に親しい友人に答えた。
「お父さんお母さんがいてな」
「教会長さんだよ」
「それで僕達のどっちかが教会継ぐよ」
「どっちかは今お祖父ちゃんお祖母ちゃんが教会長やってる教会継ぐよ」
「そうなんだな」
 友人は二人の話を聞いて言った。
「俺天理教のこと詳しくないけれどな」
「そう言われてるよ」
「大人になったらって」
「じゃあ将来頑張れよ」
「ああ、有り難う」
「そうしていくな」
 二人は友人に笑顔で応えた、二人共親がいた。だが。
 家でだ、双子は教会の信者さんの一人にこう言われたことがあった。
「二人共里親でこの教会に来たんだよ」
「里親?」
「何それ」
「養子なんだよ、二人共血はつながっていないんだ」
 こう双子に話した。
「聞いてると思うけれど」
「うん、僕達養子なんだよね」
「お父さんお母さんのね」
 双子は最初から両親に言われて知っていて信者さんに応えた。
「子供が出来なくて」
「施設にいた赤ちゃんの僕達を迎えたんだよね」
「僕達実の親いないけれど」
「お父さんお母さんが親だね」
「そう、お二人が親だから」
 信者さんは二人に優しい声で告げた。
「安心するんだよ」
「僕達にはちゃんと親がいるね」
「お父さんお母さんが」
「血がつながっていなくても」
「それでもだね」
「血じゃなくて絆だから」
 大切なものはというのだ。
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