第二章
[8]前話
「お母さんがやってあげるから」
「ナチュラルじゃなくて」
「念入りにね、いいわね」
「お母さんがそこまで言うなら」
娘としてだった、睦美は断れなかった。
「お願いね」
「卒業アルバムは一生残るから」
母はそれでと話した。
「念入りにね」
「奇麗にするのね」
「そう、そうしてね」
そのうえでというのだ。
「撮ってもらいなさい、いいわね」
「わかったわ」
睦美は母の言葉に頷いた、そうしてだった。
全て母の言う通りにした、そのうえで撮影に臨んだが。
大学生になったある日自宅で高校自体のアルバムを観て母に微笑んで話した。
「皆も私みたいにして」
「奇麗よね」
「ええ、きらきらした感じよ」
「一生残るからね」
「皆奇麗にしていくのね」
「それでお母さんも言ったのよ」
母もというのだ。
「念入りに奇麗にしなさいってね」
「それで実際に奇麗に映ってるし」
「よかったわね」
「ええ」
母に微笑んで答えた。
「会心の一枚よ」
「そう言って何よりよ、じゃあね」
「それならよね」
「そう、そのアルバム大事にしなさいね」
「一生持っているわ」
会心の一枚があるそれをとだ、睦美は母に答えた。そして就職して結婚して彼女の家庭を持っても持っていた。そして一生の宝の一つにしたのだった。
アルバム用の写真 完
2024・12・19
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