第三章
そして桐山霧夜は覚えていられない。
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だから感謝の言葉は言わず、こう言うことにした。
「君が処女を溝に捨てたくなったら、いつでも俺のところに来ていいからね?その時には優しくするよ?」
「絶対に行かないって約束するよっ!...ううっ、やっぱり雪ノ下さんの言う通りにした方がよかったのかなぁ?」
こんな優しい子でも迷っちゃうんだ...。やっぱり俺って最低だなぁ。まぁ、そんな俺が俺は大好きなんだけどよ。
俺が突然のナルシ発言をしていると比企谷がいらんことを言った。
「でも、桐山がビッチって言っちゃうのも少しわかるなぁ。なにしろ女子力って単語がもうビッチくさい」
「また言った!さっきの人から言われたばっかりなのにビッチ呼ばわりとか、ヒッキーまじでキモい!」
由比ヶ浜さんは悔しそうにうっ〜と小さく唸りながら言う。さっきの俺の言動のせいもあったからなのか、もう涙が溢れるんじゃないかってぐらいうるうるしている。
「ビッチ呼ばわりと俺のキモさは関係ねーだろ。あとヒッキーって言うな」
...ヒッキーって、まるで比企谷が引きこもってるみたいな言い方だな。...まあ多分クラスで使われてる比企谷の蔑称なんだろうなー。そして俺がちゃんと名乗ったのに「頭おかしい人」とか「そこのキモい人」とか「さっきの人」とか呼ばれてるのはもう既に忘れかけられてるからなんだろうなー。
たまに思うんだけど、これマジ発狂するレベルだから。平然と生きてる俺すげぇ。マジ惚れてまうやろぉ。
...まあ、比企谷のこと陰口言ってんのは良くないことだよね。だから俺たちは言うのだ、しっかりと直接相手に!
「このビッチが」
「やっぱ君ビッチだよ」
「こっの...!ほんとウザい!さっきの人もマジキモい!ヒッキーも一緒に死ねば?」
...「死ねば」って言われてもなぁ。俺一回死んだことあるしなぁ...。そう、確か中学校の授業中『僕』は死んだ。勝手に、一人で「いなくなった」。みんなの意識から、完全に...。
さっきもしも由比ヶ浜さんが警察を呼んだら、もう一度「それ」をするつもりだった。完全に消える。それも突然に...。
つまり俺は自由に「死ねる」のだ。これはすごいことだと思わないかい?俺が特技の一つとしてこれを数えることがわかるだろう?
ちなみにやり方は簡単。軽く発狂すればいい。その場で自分にとっての「現実」への不満を怒鳴り散らせばいいだけ。ベリベリイージー。それだけで消えられる。
だからそれをやった『僕』は死んでしまった。
まあ、だから「俺」がいる訳なんだけど...。ああ、あの時は大変だった。全校生徒および全教職員から忘れられた。親にも少し影響が出た。
「僕」という自分がいなくなって「無」になった不確かな存在の自分は、彼と会って「俺」を名乗り、ゼロからのスタートを決
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