第三章
そして桐山霧夜は覚えていられない。
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りはやく彼女、つまり牝豚さんが言った。ナニソノラブコメテンカイ?比企谷の知り合いなのかよ。...ありえねぇ。
俺が裏切り者を蔑むような目で比企谷を見つめると、比企谷は口を開いた。
「いや、俺ここの部員だし。...で桐山、誰?」
もちろん小声で比企谷が聞いてきた。
ふん、覚えはないようだな...。ま、だと思ったけどさ!
なにしろ彼女、まさに今時(笑)のジョシコウセイって感じでこの手の女子はよく見かけるからだ。つまりは青春を謳歌している派手めな女子(爆笑)というわけ。短めのスカート、ボタンを三つほど開けてあるブラウス、覗いた胸元に光るネックレス、ハートのチャーム、明るめに脱色された茶髪 = 牝ぶ...違った、違った。この出で立ちから導き出される結論は「だから誰?」である。
しかし本人は比企谷のことを知っているようなので、ここで「あんた誰?」なんて言ったら失礼ってもんだろう。
「あー、比企谷と面識があるみたいだけど、俺は知らないから名前、教えて頂けますか?」
「由比ヶ浜結衣さんよね」
私は雪ノ下さんに聞いてはいないのだけれど...。(←雪乃ボイス)
ちょっと上手いな俺。...ニヤリ。って、待って!
「え?雪ノ下さん知ってたの?」
「お前そういうのよく知ってるなぁ...。全校生徒覚えてんじゃねぇの?」
「え、でも俺たちのことは...」
「安心して、そんなことはないわ。あなた達のことなんて知らなかったもの。...それに桐山くんのことは知っていても忘れてしまいそうになるわ」
さいですか...。いやまぁ、名前覚えてもらってただけでビックリドッキリメカなんだけど...。
通常、俺の名前は忘れられるか、名前を教えても気づかれないから正直、最近戸惑ってる。俺を覚えてられる人が見つかりまくったから本当にビックリドッキリ。もう口からメカを出してくる勢い。
「そうですか...」
「比企谷、落ち込むな。ちなみに俺は名前を覚えてくれてただけで十分すぎるから」
「そうね。比企谷君、別に落ち込むようなことではないわ。むしろ、これは私のミスだもの。あなた達の矮小さに目もくれなかったことが原因だし、何よりあなた達の存在からつい目を逸らしたくなってしまった私も心の弱さが悪いのよ」
「ねぇ、お前それで慰めてるつもりなの?慰め方が下手すぎるでしょう?最後、俺が悪いみたいな結論になってるからね?」
「比企谷、俺たちが悪いって言ってたか?俺たちから目を逸らしたくなってしまった雪ノ下さんが悪いと本人も言ってたし、それに俺たち何も悪くないよ?」
悪くないよ。俺は悪くない。悪いのは俺を見ていられない奴等だ。気持ち悪い俺を見てられないんだろ?無意識のうちにみんな『僕』を避けてるんだ。みんな
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