紛い物
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ちは、強大な熱源に当てられ、爆発するとともに消えていく。
爆炎の中を潜り抜け、ドラグレッダーは真司の周囲で旋回を始めた。
「ふむ……。見覚えがあると思ったら、バーガーショップの店員か。そういえば、ウィザードも君がサーヴァントだと言っていた気がするよ。随分とバカでかい化け物を従えているじゃないか」
「お前の話は聞いてる! 聖杯戦争に参加するなんて馬鹿な考えはやめろ! こんな戦いに参加したって、お前も、皆も! 傷つくだけだ!」
「俺の知ったことか。例え俺自身が傷つくとしても、叶えたい願いがあるのだよ」
パピヨンはそう言いながら、その背中の翼を広げた。
無数の黒い蝶が蠢き、今にも可奈美たちへ向かおうとしたとき。
『参加者同士が仲良しこよししてんじゃねえよ』
突如現れた声なき声に、可奈美、真司、友奈は背筋を凍らせた。
頭に直接響いてくる音なき声。これを知らない参加者がいないことは確信をもって言える。
可奈美が振り返れば、すぐそこにそれはいた。
「コエムシ……!」
聖杯戦争の監督役の一人、コエムシ。
夢の国にいそうなシルエットに、頭と体のバランスがあきらかに不釣り合いになっているそれ。彼が訪れた戦場では、ほぼ毎回決まって新しい敵の出現が伴われる。
その姿を見て、喜ぶ者がただ一人。
「おおっ! おおっ! 会いたかったぞ! 聖杯戦争の監督役!」
パピヨンは手を叩く。
すると、コエムシは怪訝そうにパピヨンを向いた。
『ああ? 何だお前? 俺様が見えるってことは、それなりに魔力を持ってるようだが』
「俺はパピヨン。聖杯戦争の監督役よ。俺も是非、聖杯戦争に参加させてもらいたい。何、参加者足り得る魔力は十分にある。素質としては、他の参加者と同等以上のハズだ」
『寝ぼけたこと言ってんじゃねえ。テメエのような半端モンを聖杯戦争に参加させるわけねえだろ』
コエムシは『ケッ』と吐き捨てた。
「半端者だと?」
『出来損ないのホムンクルス風情が。神聖なる聖杯戦争に参加できると思ってんのかよ。つけあがんのも大概にしろ』
「な、何だと……!?」
その反応に、パピヨンは顔を大きく歪めた。
「この俺が、参加できないだと……!?」
『何度も言わせるな。失せろ。仕事があんだよこっちは』
コエムシはそれ以上パピヨンへ目を向けることはない。
並ぶ三人の参加者を眺めるコエムシは、その魂のない点のような目で可奈美たちを見つめていた。
『さってと。こんな半端モノに絡んでる雑魚の参加者共が徒党を組んでいるわけだが……オレ様は戦わない参加者ってのが一番嫌いなんだよ』
監督役の言葉に、可奈美は身構える。
彼が参加者の前に姿を現す時。それはいつ
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