暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第230話:獅子の目覚め
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に転んだキャロル。ハンスはその近くに落下し、力無く四肢を投げ出していた。キャロルは壁に磔にされたガリィと倒れたハンスを交互に見て、まずハンスを抱き上げ生きてはいる事を確認するとガリィに向け手を伸ばした。
「ガ、ガリィ……お前、俺を……ハンスを……」
「やですね、マスター……変な期待をしないでくださいまし。性根の腐った私が、そんな殊勝なことする訳ないじゃないですか」
口ではそう言うガリィだったが、実際の所今の行動はキャロルとハンスの2人を守る為以外の何物でもない。ガリィがあの時そうしていなければ、キャロルもハンスもいちころだったのは間違いないのだから。
何も出来ず、ただ守られてばかりの自分にキャロルが焦りと苛立ちを感じていると、傍まで来ていたメデューサが杖の先端を彼女に向けた。
「手古摺らせてくれたわね。でもそれももうお終い。用済みのあなたには、ここで消えてもらうわ」
杖に魔力が集束していく。妖しい光を放つ杖に照らされながら、キャロルは目尻に涙を浮かべて腕の中のハンスを抱きしめる。
「ハンス……俺は、お前すら守れないのか……! 皆は、俺を守ってくれたのに、俺は何も…………。誰か、誰か、ハンスだけでも……」
キャロルは只管に祈った。神でも悪魔でもいいから、せめてハンスだけは助けてくれと。嘗てキャロルの父を奪った連中が必死に縋ろうとした、奇跡を起こしてくれる神に願いを託そうとした。
そんな彼女の口から零れる願いを、メデューサが一蹴する。
「無駄な願いよ。最早”奇跡”も起こらない」
「…………”奇跡”……」
メデューサが何気なく口にした奇跡と言う単語。それを聞いた瞬間、キャロルの脳裏に凄まじい勢いで様々な情景が駆け抜けていった。
自分に手を伸ばす颯人と奏……
立ち塞がる装者達……
メデューサ達魔法使いとの対峙……
眼下に広がる燃え盛る街並み……
共に歩むハンスの姿……
そして、磔にされ火刑に処される父の姿……
その父が最期に残した命題……
『キャロル……世界を識るんだ……』
次々とフラッシュバックしていく過去の情景。それらが失われていたキャロルの記憶を次々と組み上げていき、彼女の本来の人格を呼び覚ましていく。
「き、せき……きせ、き…………」
頭痛を堪える様に額を押さえるキャロルを訝しみながらも、さっさとトドメを刺そうとメデューサは杖に集束させた魔力を解き放ちキャロルをハンス諸共消し飛ばそうとした。
「これで終わりよ。さようなら」
しかしそれよりも前に、キャロルが俯きながら言葉を紡いだ。
「奇跡は……」
「ん?」
「望んでいない…………俺が、殺すからだ」
「…………え?」
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