暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第230話:獅子の目覚め
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りを少しでも得たいという気持ちもあったのかもしれない。膨れ上がった怒りと憎しみがその気持ちを忘れさせて彼女達を道具にしてしまっただけで。

 温かさを取り戻したキャロルからの言葉に、ミカは嬉しそうに笑みを浮かべた。本来感情など持たない筈のオートスコアラーであるが、それでもミカは確かに嬉しいという気持ちに近い何かを感じていた。

 ミカを残してガリィはキャロルを運んでいく。だがその動きは次第に覚束無くなっていた。真っ直ぐ進む事も出来ず、蛇行した氷の道を残してハンスが囚われている部屋へと向かう。

 ガリィの動きが悪くなってきている事には、キャロルも気付いていた。流石にこれ以上無理をさせる訳にはいかないかと、キャロルは自力での移動を進言した。

「ガ、ガリィ……ここまで来ればもう十分だ。後は俺も自分の足で……」
「何言ってんですかマスター。そんな体では、走ったってすぐ追いつかれます。このまま私が運ぶので大人しくしててくださいな」
「むぐ……」

 言外にチビ扱いされ、流石に少しムッとなった。とは言え実際ガリィの言う通りであり、今下ろされたら移動に大分時間が掛かるだろう事は容易に想像できてしまったのでそれ以上の反論はしないでおくことを選択した。
 大人しくなったキャロルにガリィが再び前を見た。すると出し抜けに壁を突き破る様にしてメデューサが飛び出してきた。

「なっ!?」
「くっ!」

 行く手を塞いだメデューサに、ガリィは移動を止め後退しようと足を動かす。だがメデューサが手に持つものを見た瞬間、キャロルの顔から血の気が引いた。

「あ、あぁ……!? ハンスッ!?」

 メデューサが持っていたのは動かないハンスであった。彼女はキャロルの目的がハンスであろうことを予想すると、ミカの相手を部下に任せて自分はハンスを回収し先回りしたのである。

 物言わぬハンスが首を掴まれた状態でメデューサに引き摺られている光景に、キャロルは束の間我を失いガリィの腕の中で暴れ出した。

「ハンス、ハンスッ!?」
「ちょ、マスター駄目ですッ!?」

 暴れるキャロルをガリィが宥めようとする。その瞬間、後ろから後続のメイジがライドスクレイパーを槍投げの要領で投擲してきた。飛んできた槍に気付いたガリィは咄嗟にそれを避けようとするが、それにタイミングを合わせた様にメデューサがハンスを投げつけてきた。

「あっ!?」

 このまま避けたら最悪ハンスが串刺しになる。その結論に至ったガリィは、迷わずキャロルを手放し自身の体で槍を受け止めた。障壁で防ぐ事も出来ず受け止めた槍は容易くガリィの体を貫き、勢いは止まらずそのまま彼女の体を壁に磔にして動きを止めた。

「ぐぅ……!?」
「うわっ!?」

 突然ガリィから解放され、その場
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