暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第230話:獅子の目覚め
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 襲ってきた不安にキャロルが胸元て両手を握り締めるが、まだここにはハンスが囚われているのだと考えて自身を奮い立たせた。

「分かった……こちらは何とか逃げて時間を稼ぐ。ハンスもまだ捕まってるし、連れていく時間は必要だ」
『キャロル、無茶ですッ! 見た所、ガリィ達も何時動けなくなるか分かりません。そんな中で逃げ続けるなんて……』
「そうだ、無茶だ。だから、出来るだけ早くに助けに来てくれ」

 そこまで告げた所で、背後が騒がしくなってきた。どうやらメイジ達が追い付いてきたらしい。これ以上の通信は無理だと、キャロルは今一度モニターのカメラを見て手短に告げた。

「信じてる……頼んだ」

 それだけを告げると、ガリィがキャロルを抱えて再び逃走を始めた。ミカはそんな彼女達を守りながら、共にシャトーの奥へと消えていく。

 逃走の最中、キャロルはここで目が覚めてからの事を思い出しハンスが居る部屋を必死になって探していた。先程ジェネレーター室から逃げる時には色々と必死だった為、自分が何処へ向かっているのかも分かっていなかった。それでも、部屋からジェネレーター室まで連れていかれる途中で通信設備の様な物は無かったと記憶している。つまり、今キャロル達はハンスが居る部屋からは離れている事になる。

「ガリィ、何とか迂回してさっきの部屋の反対側に行くことはできないか?」
「出来なくはありませんけど、本当に大きく迂回する事になりますよ?」
「構わない。ハンスを何とかして助けないと」

 兎に角それが今は第一だった。自分の身の安全もそうだが、眠ったままで動けないハンスを助け出さなくてはならない。ガリィも、元となった人格はキャロルのそれである為か、ハンスを助ける為ならば多少の苦労など何のその。マスターであるガリィの望みを叶える為、今取れる最善の行動を選択しようとした。

「分かりました。であれば、こっちですね」

 ガリィがミカを伴ってキャロルを連れて行ったのは、後付けで作られたエレベーターであった。これも日本政府がシャトー調査の為に作ったのだろう。内装に似つかわしくない機械的なエレベーターに乗り込むと、ガリィは上の階を目指してボタンを押した。

 あまり広いとは言えないエレベーターが唸りを上げて上昇していく。その中でキャロルは不安を胸に抱きながら扉が開くのを待っていた。

「……大丈夫かな」

 何気なく口をついて出たのは、ジェネレーター室に残したレイアとファラを案じる声。その声にガリィは気楽そうな声で答えた。

「安心してください。レイアちゃんもファラちゃんもそう簡単にやられるほど柔じゃありませんから」

 そうは言うものの、ガリィの動きも明らかにぎこちない。手を少し動かすだけでも、何年も油を差していない機械の
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