第三部 1979年
戦争の陰翳
柵 その2
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「困りました。
何が何だか、さっぱりわからなくて……」
「確かにそうよね。初めて麦茶を目にした人は驚くわよね。
私もそうだったから……」
マサキはその言葉が引っ掛かった。
ミラはアイリスディーナの事を揶揄うために麦茶を出したようだった。
アイリスディーナの事をなめるように見る篁の視線が、気に入らなかったのだろう。
マサキは、それにしても女とは貪欲なものだと思った。
その貪欲さが、ミラの雰囲気にはふさわしくないだけに、動物的なものを感じ取っていた。
厚化粧をし、薄絹の服を着た、如何にも商売人という成りの女ならば、理解できる。
だがミラは、どう見ても淑やかさや清楚さを感じさせる深窓の令室である。
こと男女関係になると、男がたじろぐほど欲張りになるのだろうか。
そういう物は理解するのではなく、頭からそういうものだと割り切ることも必用なのだろう。
マサキは、自分自身が、人間関係に不勉強であることを恥じるのであった。
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