暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第229話:復活の序曲
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.本部を襲撃してキャロルを連れ去って来たであります」
「なっ!?」
まさかの情報に奏が慌てると、一早く彼女が騒ぎそうになるのを察したヴァネッサが先手を打ってその口を塞ぐ。突然口を塞がれた奏は息が詰まるのを感じ、咄嗟に抵抗して乱暴にその手を退かした。
「もごがっ!? くっ、おいどういう事だ?」
流石にここで騒ぐのはマズイと、口を塞がれて冷静さを取り戻した奏は焦る心を抑えながら何がどうなっているのかを訊ねた。
「今エルザちゃんが言った通りよ。連中はあなた達がここに連れて来られて、私達と日本政府に繋がりがある証拠を隠蔽されないように戦力を割いた隙をついてそっちの本部を襲撃。最優先目標の1人だったキャロル・マールス・ディーンハイムを連れ去る事に成功したのよ」
「何だって連中はキャロルを欲しがるんだ? あいつ記憶喪失だろ?」
錬金術に関しては知識が疎い奏は、想い出の焼却のし過ぎで自分とハンスの事以外を忘れたキャロルにどんな価値があるのかが理解できなかった。ヴァネッサはそんな奏に呆れと面倒臭さを感じながら、事態の深刻さを理解してもらう為キャロルの持つ価値を話した。
「記憶の有無は関係ないわ。要は彼女の体さえ動かせればそれで十分なのよ」
「何で?」
「あなた、ここが何処だか分ってる?」
言われて奏は改めて自分が今居るこの場所が何処なのかを分かっていない事に気付いた。何処かの城の中の様である事は分かるが、何分魔法で転移させられてきたので外観などを見る機会は無かったのだ。だが所々に破損した箇所やその部分をビニールシートなどで覆い修復しようとしている様子から、何処かの廃墟の中だろうと漠然と考えていた。
しかしここに来てキャロルを欲する事と、この内部の惨状を照らし合わせて奏もここが何処で、何故キャロルが狙われているのかを悟る事が出来た。
「まさか、ここ……チフォージュ・シャトー?」
「正解。今は機能停止してるけれど、キャロルを使えばまた動かせるようになるわ」
「だけど、アイツ今記憶ないから錬金術も使えないだろ?」
「使えないなら、使わせればいいのよ。操って必要な操作をさせてしまえば本人に記憶や知識が無くても問題無いわ」
「クソが……!?」
人間を物のように扱うジェネシスの非道さに改めて奏は反吐が出る思いだった。
そして気付く。今その話をして、そしてこの扉の向こうでその事が分かる会話がされているという事は、この奥にキャロルが居るという事になる。そうとなれば話は早いと、奏は拳を握り一気に部屋に突撃しようとした。
「そうとなれば善は急げだ。さっさとキャロルを連れ出そう」
「待ちなさいッ! 今はまだ早いわ。いきなり入っていっても包囲されて袋叩きにされるのがオチよ。まずはタイミングを見計
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