暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第228話:意志はそこにある
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 アンティキティラの歯車を回収に向かってメデューサに襲われた慎次を救援に向かったマリア達は、追い詰めたと思ったメデューサの口から本部が襲撃されている事を知る。幾ら呼び掛けても応答がない事に、まんまと嵌められた事を察しクリスが地団太を踏み透がそれを宥める中、ガルドはせめてもの情報源としてメデューサを捉えようとマイティガンランスを突き付ける。

「どちらにしてもお前はここまでだッ! 大人しく、一緒に来てもらうぞ」

 ガルドの言葉に一時的にだが動揺から立ち直ったマリアもそれに続く様に短剣を構える。本部に残っているセレナの事は勿論心配だが、あちらには切歌に調、他にも頼りになる仲間達が居る。彼ら彼女らを信じて自分達は為すべき事をしようと、困惑と焦りに静かに蓋をしてメデューサを捕縛するべく手を伸ばした。

 その時、出し抜けにマリア達が装着している通信機から朔也やあおいの声が響いた。

『――――ちら本部ッ! 現在作戦行動している装者、並びに魔法使いは応答してくれッ!』
「ッ! サクヤかッ! そっちはどうなってる?」

 本部の方から通信が聞こえてきたという事は、あちら側で通信を妨害していた何かが消えたという事。それはつまり向こうの状況が一段落したという事でもあり、まだ気は早いかもしれないが届いた朗報に4人は束の間気を緩めてしまった。

 その心の隙をメデューサは見逃さない。彼女は素早く転がる様に突き付けられた切っ先から逃れると、ガルド達から距離を取りつつ無数の魔力弾による攻撃で4人を牽制した。

〈アロー、ナーウ〉
「ハッ!」
「チッ、マリア!」
〈ディフェンド、プリーズ〉
「クリス、こっち!」
〈バリアー、ナーウ〉

 放たれた魔法の矢を、ガルドはマリアを、透はクリスをそれぞれ引き寄せて障壁を展開させる事で被害を防ぐ。牽制目的で放たれた魔法の矢は、しかし何発かは障壁に命中しその衝撃に魔法使い2人はそれぞれ腕に走る衝撃に思わず小さな呻き声を上げる。攻撃魔法としては一番威力が低いであろう攻撃だが、それでも使い手が幹部クラスともなればその威力は侮れず積み荷を満載したトラックが衝突してきたような衝撃を感じた。

「ぐぅっ!」
「くっ……クリスッ!」
「あぁっ!」

 そんな中でも、透とクリスのコンビネーションは健在だった。彼はクリスを守りながら彼女に最低限の言葉を投げ掛けると、彼女はそこに込められたメッセージを即座に理解しアームドギアを狙撃銃に変形させ障壁の影から僅かに体と銃口を覗かせ距離を離していくメデューサに狙いを定めた。カメラ付きスコープに変形したヘッドギアが、魔法の矢が周囲に命中した事で立ち上る砂埃の中で時折見せるメデューサの姿を確かに捉える。

「そこだッ!」
[RED HOT BLAZE]

 
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