少女は平和を唄う
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の瑠璃は平静ではない。ここで同じ学校の生徒がノイズに襲われて死んだと想像してしまい、気が気ではなかった。
「どうしよう……ノイズが……人を……。私と同じ……リディアンの子が……」
『落ち着け!』
弦十郎のスマホ越しからの一喝でハッとする。
『その子がまだ死んだと決まったわけじゃない!俺達が必ず助ける!瑠璃は危険が及ばないうちに帰るんだ!』
「う、うん。ありがとう……」
着信を切った時には落ち着きを取り戻していた。
「ごめんなさい」
瑠璃は炭塵となった遺体を見てそう言うとその場を後にした。力無き少女には何も出来ない。
一方瑠璃が心配していたその少女はというと……
「え?!なにこれ?!どうなってるの?!」
謎の装備を身に纏っている事に驚いていた。
☆☆
翌日。少女の安否が気になったのに加え、父親は仕事で帰って来なかった。一人で朝食を済ませて学校へ向かうが表情は晴れず、その足取りは重い。
無事に逃げられただろうか?それとももう……。そう考えてしまい心が不安でいっぱいになってしまう。
(大丈夫かな……)
本日何度目か分からないため息をつく。
「響、前!」
「え?」
曲がり角の人影に気付くのが遅れて、出合頭にぶつかってしまった。瑠璃はものの見事に倒された。
「痛た……」
「だから言ったのに。すみません、大丈夫でしたか?」
「ごめんなさい。私のせいで……」
「ううん。私は大丈……あ……」
昨日の少女が目の前にいる。悩みが杞憂に終わった瞬間だった。
その少女は立花響と言い、今年入学した新入生。話を聞くと、どうやら道端で困っている人を片っ端から助けていったら色々不幸が重なってノイズの避難警報でシェルター行きになったという。
響が無事だったという知らせでようやく瑠璃は安堵出来た。だが響の方は助かって万々歳、という表情ではなかった。
「ああ……でも初回購入特典が……」
「まだ言ってるの響?」
その隣にいるのは響の幼馴染、小日向未来。響のルームメイトであり、昨夜は遅くまで帰りを待っていたのだとか。
響は初回限定盤が手に入らなかったのが余程悔しかったのか引きずっている。
「なら二人とも、私今日CD買いに行くから、それをあげるよ」
その提案は落ち込んだ響をたちまち立ち直らせた。
「え?!良いんですか?!」
「でも翼さんのCDってよく初日で完売してしまうことがよくあるって……」
「私、予約してるよ。あるよ初回限定盤」
それを聞いた響は嬉しそうに飛び上がった。聞けば響は翼の大ファンでダウンロードとCDを揃えている
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