少女は平和を唄う
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ってば、何で怒らないの?!少しくらい……」
「あの子もお姉ちゃんのファンだと思う」
「そりゃあ見れば分かるよ。けどさぁ……」
「それにあの子の目……」
「目がどうしたの?」
「真っ直ぐに輝いてて、とても綺麗だなって。本当にお姉ちゃんのファンだって分かる」
「あの……瑠璃?もしもし瑠璃さーん?」
別の世界に入りかかっていた瑠璃を正気に戻してCDショップに向かおうとした時だった。瑠璃のスマホから着信音が鳴った。
「もしもしお父さん、どうしたの?」
『瑠璃!無事か?!』
「うん。そんなに慌ててどうしたの?」
『お前が先日言っていたCDショップの一帯にノイズが発生している!』
「っ……!」
ノイズ、その名を聞いた瑠璃の表情が恐怖に染まった。
特異災害として世界で認知されている謎の生命体。ノイズは人を襲い、触れればその人間を炭素にしてその命を奪う。
通常兵器ですら倒す事も、傷も与えられない。故に一般人はノイズが発生したら自壊するまで逃げるしかない。しかしそれでも犠牲者を出してしまうからなお恐ろしい。
瑠璃は自分の父親がそんな特異災害を相手に市民を守る救助隊に所属しているという話を聞いたことがある。ノイズが発生した時には真っ先に危険であると教えてくれる。
『まだ学園にいるのか?なら真っすぐ家に帰るんだ!そこまでならノイズは来ない!』
「う、うん!分かった。ありがとう。」
「オジサンから?もしかして……」
「うん。ノイズだって。真っすぐ家へ帰れって……」
「なら明日に持ち越しだね」
2人はそれぞれ変えるべき家に帰る。瑠璃は走って自宅まで走っている。だがその途中である事に気が付いてしまう。
「あの子……!」
あの時、走っていった少女の存在を思い出した。彼女もCDショップへと向かっていた。瑠璃は踵を返してCDショップの方へ走った。
ノイズと遭遇するリスクは承知している。それでも見殺しにする事は出来ない。ただひたすら走る。
コンビニの角を曲がろうとした時、辺り一帯に黒い塵が宙を舞っていた。この塵が炭素化した塵でありノイズか人間が炭となって崩れた事を意味する。
その角を曲がると、外は炭の塊がそこら中に落ちていた。その形は人の腕をしていた。コンビニの中にも炭となって欠損した足が遺っていた。
ノイズによる一方的な虐殺を感じ取った瑠璃の心臓の鼓動が早くなる。瞳が揺れ、呼吸も荒くなる。
もしかしたら、彼女はもう……。
そこにスマホの着信音が鳴り、我に返る。ただ不安は拭えず、震えながらもその画面を確認して応答した。
『瑠璃!帰ったか?!』
「お……お父さん……。あの子が……」
『どうした瑠璃?!』
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