少女は平和を唄う
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瑠璃にとっては幸せなものだった。だがある日を境に、その日常が徐々に蝕まれていくことを、二人は知る由もなかった。
☆☆?
放課後、新聞部の活動をしている輪は今日はやる事が多かった為、終わるのが予定より遅れてしまい、気づいたら日は落ちようとしていた。
輪は急いで瑠璃が待っている図書館へ走った。瑠璃は特にすることがなかったので図書室で本を読んでいた。
「ごめん瑠璃!遅くなっちゃった!」
「図書館は静かにお願いしまーす」
図書室という静かな場所に一人騒いでいればかなり悪目立ちしてしまう。他の生徒に注目された輪は萎縮しながら図書室に入った。
「輪、そんなに慌てなくても……」
「いや、思いの外時間が掛かっちゃって。待たせるのも悪いかなって」
「私は平気だよ。ほら、目立たない様に行こう」
二人は小声でやり取りして、そのまま目立たないように図書室を後にした。
二人は談笑しながら校門を出て、時には夕焼けを背景に瑠璃の写真を撮っていた。
「もう輪ったら、また撮ってる」
「だってこんなシャッターチャンスをみすみす逃すなんて、私のカメラマン精神が許さないもーん!」
憎めない程はにかむ笑顔を見せる輪。瑠璃はやれやれと言わんばかりに呆れるが、そんな輪が好きであり、輪もまた優しい瑠璃が好きなのだ。
そして途中で曲がり角を曲がろうとした時
「CD!特典!CD!特典!」
大きな声を出しながらも、曲がり角から急に飛び出した走ってくる少女に気付かず、瑠璃とぶつかってしまう。強くぶつかった為、お互いに尻餅をついた。
「瑠璃!大丈夫?!ちょっと!危ないじゃない!」
「痛たた……あっ!ごめんなさい!怪我は無いですか?!」
ぶつかった少女はすぐに立ち上がって、瑠璃に頭を下げて謝罪する。
「だ、大丈夫。それよりもあなたの方は……」
「私は大丈夫です!」
ハッキリとした大きな声で、輪に勝るとも劣らない笑顔を見せる。だが輪は飛び出したことによる危険性が高いと注意する。
「もう、ちゃんと周りを見なさいよね?自転車や車だったら、今頃……」
「輪、ちゃんと謝ったんだし、もういいよ」
「でも……」
立ち上がった瑠璃は自分の為に怒ってくれている輪を宥めた。当の本人は納得行ってないが、これ以上言っても瑠璃を困らせてしまう為、ここは引き下がる。
「それよりも、何か急いでたみたいだけど大丈夫?」
「あぁっ!そうだった翼さんのCDが私を呼んでいるうううううぅぅぅぅー−−!!」
少女は再び勢いよく走り出した。
「ちょっとー!だから周りに……」
「もう良いってば」
再び輪を宥める。
「瑠璃
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