少女は平和を唄う
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整った体型をしており、同じ女子からも羨ましがられる。
とはいえ、周囲の目線が気になる瑠璃は恥ずかしさで頬を赤らめる。
その後ろから走る大きな足音が近づいてくる。
「やっほー!おはよー瑠璃!」
瑠璃の背後から抱き着いた同級生。いきなりでバランスを崩しそうになるが、瑠璃はなんとか転倒せずに済んだ。
「もう……!危ないよ輪」
出水輪それが彼女の名前である。
瑠璃より身長が高く、赤茶色の髪も背中の半分ほどの長さ、天真爛漫な性格の持ち主、同じリディアンに通う二年生で、クラスメイト。
新聞部に所属しているが、事件やトラブルが起こるとそれを追わずにはいられない。その結末は大概ろくなものではないが、凝りもしない。
そんな彼女に欠かせないアイテム、それはカメラである。
「だって瑠璃は抱き心地がいいんだもん。それにいい匂いがするし」
セリフから少し性癖を拗らせているように見えるが、輪には同性愛の趣味があるわけではない。これは瑠璃に対してのみに行うスキンシップである。
「早速一枚!春の通学路に舞う桜が良いアクセサリーになってるよ〜!」
そう言うと、輪はデジタルカメラで瑠璃の写真を撮る。
輪は根っからのカメラガールで、瑠璃の写真を撮るのが日課となっており、データ内には瑠璃を撮った写真が七割を占めている。
瑠璃も最初は撮られる事に抵抗があったのだが、撮られ続けたせいか、余程過激なもので無ければ輪を咎める事をしなくなった。
そうやって話している内に、2人が通うリディアンに到着する。
二人は入学前からの仲であり、一年の時も同じクラスであった。今年の始業式でまた同じクラスになった事が分かると、喜びを分かち合うかのようにはしゃいだ。
「そういえば翼さんのニューシングルって今日だったよね?」
風鳴翼。彼女の従姉である彼女もリディアンの生徒であり、現在有名なトップアーティストとして活動している。
「うん。帰りにCDショップに行く予定なの。」
「なら私も行くよ。どうせ帰っても小夜姉が夜勤でいないし」
その小夜姉というのは輪の姉である。輪の実家は元々遠方で入学にあたって、社会人の姉がマンションに住んでいるというので、一緒に住む事になったとか。
ただ看護師という事もあり、夜勤も当たり前。なので一人でいる事も多いのだとか。
「なら、家に寄る?ご飯、御馳走するよ?」
「え?いいの?じゃあお言葉に甘えて!瑠璃のご飯美味しいからなぁ〜。こないだ小夜姉が瑠璃のご飯に感動しちゃってさ!」
「そ、そんな……嬉しいけど、逆に恥ずかしいな……」
こうやって他愛もない日常が
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