第三章
[8]前話
「そうなんですよ」
「そういうことだね」
「はい、そして」
そうなっていてというのだ。
「今は待っています」
「そういうことだね、じゃあ俺は他の場所に行くから」
「デート続行ですね」
「だからデートじゃないから」
このことは真顔で否定した。
「本当にね」
「そうですか」
「そうだよ」
即座に答えた。
「俺は付き添いで」
「姪御さんの」
「存分に楽しんでもらってるんだよ」
そうだというのだ。
「折角のテーマパークだしな」
「そういうことですね」
「そう、今日は夕方まで」
「楽しんでもらうんですね」
「そうするよ、じゃあこれで」
「はい、じゃあまた明日」
「会社で会おう」
笑顔で言ってだった。
文也は夕実と別れた、そのうえで姪を存分に遊ばせた。常に手を放さず目をやって万が一がない様にもした。
そして満足しきった姪を連れて夕方にテーマパークを後にし。
それから家に帰ったが姉にどうしたか話すとだった。
「甘やかし過ぎよ」
「そうかな」
「随分好きにさせたのね」
「色々行きたいところや食べたいもの聞いてね」
「その通りにしたのね」
「そうだよ」
「それはかえってよくないから」
こう言うのだった。
「楽しませるのはいいけれど」
「甘やかしてたかな」
「ええ、今度から気を付けてね」
「そうなのかな」
文也は姉の言葉に首を傾げさせた、だが結婚して自分が息子を持って同じことを言われてわかった。だがそれでも甘いままだったのは彼の性格故だった。
姪とデート 完
2024・11・16
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