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モーツァルトは天才なのか
第一章

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               モーツァルトは天才なのか
 モーツァルトについてだ、高校生の藤田明子黒く波がかったロングヘアで大きな丸い目と小さな唇を持つ小柄で丸顔の彼女は言った。
「天才って言うけれど」
「よく言われるわね」 
 親友の置鮎佳代子が応えた、細面でセミロングの黒髪を後ろで束ね大きな切れ長の二重の目と薄い唇の一六五位の背の少女である。
「そうね」
「何かね」
 明子はさらに話した。
「子供の頃から作曲してて」
「ほんのね」
「それで三十五歳で亡くなるまで」
 その時までというのだ。
「物凄い数の名曲残してるわね」
「有名よね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「本当に天才か」
 それはというのだ。
「どうなのかしら」
「いや、普通に天才でしょ」
 佳代子は即座に返した。
「あの人は」
「そうかしら」
「子供の頃から作曲して」
 そうしていてというのだ。
「名曲ばかりそれも沢山あるから」
「天才なのね」
「そうでしょ、もうずっと作曲して」 
 そうしていてというのだ。
「休む間もなかったっていうけれど」
「だから天才なのね」
「もう天才って誰のことを言うか」
 それはというと。
「あの人でしょ」
「野球で言うと長嶋茂雄さんみたいな」
「そうした感じでしょ」
 佳代子は明子に言った、この時はそれで終わったが。
 明子は家で母に長嶋茂雄についてあることを聞いてだった、そのうえでふと思ってモーツァルトのことを調べてだった。佳代子に一緒に下校する時に言った。
「発達障害って知ってる?」
「ああ、色々もの忘れがあったり」 
 佳代子は一緒に歩きながら答えた。
「一つのことに集中して」
「周りが見えなくなったりね」
「そんな人よね、後片付け出来なかったり」
「そう、長嶋さんってね」
「そうそう、まさにね」
 佳代子もその人の名前に反応した。
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