母親 民子の告白
あの日の夜
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方まで、さっきの忌まわしいことを流し去ろうとしていた。それに、あの時に一瞬でも快感を感じたのかもと、私自身を恥じていたのだ。今日は、確か危険な日だとわかっているので、妊娠の不安を抱えながらも、お風呂から出てバスローブのまま、グラスを持っていって
「私も 一杯 いただいてもいいかしらー」と、まだ、飲んでいる主人の横に座った。
「あぁ 民子 ご飯は?」
「食べたくないの あなたは?」
「帰りに 焼鳥を買ってきたから それでな でも そろそろ シャワーでもしてくるよ これ 残り食べても良いからな!」
だけど、私は食欲も無く、寝室に向かって、ローズピンクのナイトスリップに着替えて、ベッドで主人を待った。彼がトランクスだけで入ってきた時、私は彼にキスをせがんで・・・
「おぉー どうした 今日は・・・ なまめかしいなぁー」と、抱きしめてくれたのだ。その後は、私は彼のものを求めて、自分から今までになく積極的に悶えていたのだ。主人にさっきの出来事を消し去って欲しかった。
それからは、主人との営みだけを思い出すようにして、あの忌まわしい出来事は忘れるようにしてきて、しばらくして、妊娠していることがわかった。生まれて来る子はあなたとの間の赤ちゃんじゃぁないとダメなのよ。私は、主人との間の子供だと信じることにしていたのだ。翌3月に女の子が生まれて、水澄と名付けられた。
達樹は顔立ちが主人に似ていたのだが、水澄は眼元なんかが私に似ていて、数ヶ月して血液型がA型で、私は多分AO型で主人はOO型なのだろう。達樹はO型だけど、でも、A型の水澄が生まれても不思議では無いのだ。水澄はおとなしいのだけど、何かあると集中する子で、顔立ちも今は目立たなく普通なのだけど、きっと、大人になるにつれて美人になると思っていて、好い子に育ってくれた。私は可愛がって、あの日のことも忘れ去っていた。
お正月、達樹と水澄のお友達の家に誘われて、一家してお邪魔することになった時。しばらくは向こうのご主人が用意したというお刺身とかに舌鼓をうっていて、お酒も少し飲んでいたのだが、何かの拍子に私が転びそうになって、向こうのご主人が支えてくれて・・・その時、握られた手に・・・感触が蘇ってきた。あの時と同じ・・・あの感触だ。ごっつい手の平。
(私が構ってあげなかったから、ストレスもあったんだろうけど 毎晩のように、散歩の振りしてふらふらと公園なんかで飲んでいたんでしょよ)(男の醍醐味ですなー でも 不審者扱いされたのではー)(ドキドキする楽しいこともこともあったんですよ) という会話。
私は、この人・・・あの時の男。あの時の記憶が・・・思わず 叫んでしまったのだ。この男にとっては、あの時のことは ただの 気晴らしだったのかー。向こうは気付いていない
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