【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第7章】アウグスタ王国の王都ティレニア。
【第5節】三人の逃亡劇とその唐突な幕引き。
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!」
カナタは、そこで念話に切り替え、急いで言葉を続けました。
《どうしよう、ツバサ。三人で跳び下りる?》
《次のT字路を曲がってから、そうしましょう!》
上下道はそのまま直進すると壁にブチ当たってしまう形なので、ツバサは万が一にもその危険性を避けたかったのです。
「今度は左に曲がるヨ! ユリア。その後、すぐに跳び下りるから、準備して!」
「えっ? と、跳び下りるって、この速度で?」
大型円盤は、すでに「全速で走る馬車」ほどもの速度になっています。
「大丈夫ですよ、ユリア。私たち二人がついています」
ツバサはそう言って、再びユリアの体を自分の側へと引き寄せました。ユリアは小さくうなずいて、ツバサに身を委ねます。
(ここで、双子は念話で素早く「打ち合わせ」をしました。)
そして、円盤がまたきれいに左折して7番目の環状道に入ると、カナタはすぐに腰を落としながら半歩下がりました。そのまま左手を後ろからユリアの左肩の辺りに添え、ツバサもまた右手を後ろからユリアの右肩の辺りに添えます。
「じゃあ、二人とも。思いっきり後ろへ跳ぶヨ〜! いち、にの、さん!」
三人は後ろ向きに、力の限り後方へと跳びました。しかし、円盤はすでに相当な速さで前進していたので、慣性の法則により、三人の体は足が地に着くなり、勢いよく前方へと転がってしまいます。
「体を丸めて、両手で膝を抱えて!」
カナタは左手でユリアの頭部をぐっと下げさせました。
それと同時に、ユリアが思わず目をつむっているのを幸い、双子は例のペンダントを軽く握って「打ち合わせ」のとおりにバリアを張りました。
二つのバリアは融合して「横倒しの六角柱」となり、脚を折り曲げた姿勢で横並びになった三人の体を丸ごと包みこみます。
二人は『滑らかな円柱にすると、延々と転がり続けてしまう』と思い、わざと角柱にしたのですが、その分、バリアの中にいてもゴツゴツと衝撃が届きました。
(もちろん、それは『バリアなしで、体が直接、地面に接触する』という状況に比べれば、随分と軽い衝撃だったのですが。)
三人の体は横並びのまま、車道の上をごろごろと六回ほど前転してから、ちょうど足の裏を地面に向けた形で止まりました。カナタとツバサはユリアに覚られないように、すかさずバリアを解きます。
「あ〜、痛かった〜。……二人とも、怪我は無い?」
カナタは立ち上がるなり、さも本当に痛かったかのような声を上げました。場所は車道の真ん中ですが、今は幸いにも、この環状道を走る馬車の姿はありません。
「私は大丈夫ですが……。ユリア、お怪我はありませんでしたか?」
ツバサも、まるで本当に心配しているかのような声を上げながら、そっと手を引
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