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魔法少女リリカルなのは平凡な日常を望む転生者 STS編
第11話 ヴェリエ・マーセナルの提案
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ようなそんな平穏で平凡な生活を」

そんな桐谷の思いを聞いて、ノーヴェはするすると力が抜けるように手を話した。

「だからこそ、血塗られた戦いにお前逹を巻き込みたくない」

桐谷が言って暫く静かな時間が過ぎる。
音はカチカチと針を進める時計のみ。

「………ふざけるな」

そしてその葬式みたいな雰囲気をまたぶち壊したのが………

「ふざけるなーーー!!!」

ウェンディだった。

「さっきから聞いてれば一方通行な桐谷兄の考えばっか!結局自己満足だよそんなの!!私達はそんなの望んでないし、して欲しいとも思ってない!!!」

いつもの口調と違うウェンディに驚くだけでなく、こんな真面目に怒るウェンディに呆気に取られていた。

「そうだよ、1人だけとか本当にバカだよ。例えそれで平穏な日常を過ごせたとしても桐谷だけが傷ついて得た日常なんて私達はちっとも嬉しくない」

ウェンディの変わりように驚く事無く、セインは淡々と語る。

「………桐谷も家族の一員なんだぞ?なのに勝手に話を進めて………私達もいい加減怒るぞ。だけど………」

そう言ってノーヴェはゆっくり立ち上がり桐谷の頬に優しくキスをした。

「ノーヴェ………?」
「私達は加藤家の一員だ。家主の決めた事だし、私は否定しない。だけど私達を巻き込まないって考えは捨てて欲しい。私達の問題は私達で解決するの、じゃないと意味がないんだ。桐谷が居てくれないと本当の平穏で平凡な日常は送れないんだから………」

そんなノーヴェの言葉に他の2人も頷く。

「私達は一蓮托生!死ぬも生きるも一緒っス!!」
「だから困ったら遠慮せずに頼って」

「そしてみんなで幸せになろう桐谷」

ノーヴェに最後に言った言葉、この言葉が一番桐谷の心に突き刺さった。

分かっているつもりで完全に分かっていなかった。自分自身の存在の大きさ、そして家族の本当の意味。
ただ馴れ合うだけが家族ではなく、皆がそれぞれを支え合って生きていく………それが家族。

それなのに自分がコイツらを守らなくちゃと自惚れて1人で突っ走っていた。

(この気持ちが今まで零治を突き進めて来た気持ちなのだろう………それと、コイツらはもうダメっ子じゃ無いな………)

そう思いながら笑みをこぼす。

「………お前達の言う通りだよ。俺が間違ってた、こういうときこそ支え合っていかないとな」

そう言いながら桐谷は無理矢理3人を手繰り寄せ抱き締めた。

「おおっ………何て力強いハグ………」
「き、桐谷………苦しいよ………」
「き、き、き、桐谷!?一体何を!?」

「ありがとう、お前達と出会えて本当に良かった………」

桐谷は3人の感触を確かめながらそう呟いたのだった………



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