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SAO−−鼠と鴉と撫子と
22,そして事件の幕は上がる。
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。いっつも隣にいるヤヨイさんはきっと不安に違いねえんだ」
「おいおい、俺だって勝算があって……」

と言っているところで次の言葉を飲み込む。
クラインのすぐ横で、傍観に徹していた約二名の唇が奇妙なことに吊り上ったからだ。
キリトは小憎たらしい顔を浮かべわざとらしく人差し指で眉間に触れ、アルゴは通常比2倍ほどのふてぶてしい顔で次の瞬間には思い出した顔を作りだした。

「キー坊、オイラの情報網も古いみたいダ。クロちゃんはしっかりと「勝算」をもっているらしいゾ」
「そりゃそうだろう。なんせボス戦でたった一人、囮になるプレイイングが「ちょっと」なんだからさ」

随分と古い話を持ち出したもんだ、と思いながらも返す言葉も見つからない。
確かに俺は第5層での攻略戦で動きの速い黒豹型のフロアボスを討ち取るため、自身を囮として隙を作り出すという荒業を披露した筈だ。
あの後でキリトとヤヨイとアルゴに散々、怒られたような無かったような……

こりゃどうにも旗色悪い。
ネチネチと昔のことを言われる前に、この前見つけたレアドロップの話でもしようか。
息を吸い込んだところで、「そーじゃん」とクラインがいきなり叫びだした。

「クロウもキリの字もよぅ、オレのギルドに来いよ。おめぇらなら大歓迎だぜ!」

と今度は早口で自身のギルド、《風林火山》のアピールポイントを列挙し始めた。
ギルドの構成員からオフは皆でバーベキューまで種々様々な話が最速の連撃ソードスキルが如く勢いで打ち出されていく。

バーベキューの肉の為に第二層の牛たちを狩っていった話のところでキリトの方を窺ったら、キリトはクラインの方を向きながら生唾をゴクリと飲み込んでいた。
アルゴはというと、ウィンドウからメモ用のページを作成し、クラインが得意げに語ったギルドの内部情報を一文字も漏らさず記録していく。

相変わらず、分かりやすい奴らだ。

「……で、どうだ?はいっちまぇよ。クロウ!!」
「うーーん、団体行動は苦手なんだよな。俺はソロで気ままにやるよ」

なんでぇ、そりゃ。クラインがぶつくさと言うが、引き際は心得ている様だ。
すぐに気を取り直しキリトの方に向き直った。

「き、キリトよう。おめぇは来るよな。BBQだぞ?食べホだぞ。食べホ」
「悪いな、クライン。名前がダサいから嫌だ」

俺の頭の中に重鎚系のスキルサウンドが響き渡った。それも、単発型で一撃がとてつもなく重いやつ。

精神的ライフポイントがみるみるうちにマックスからレッドゲージへと変わり、風林火山のリーダーががっくりと肩を落とす。
断っておいて何だが、なんだか居た堪れない。
今度バーベキューに同伴して、秘蔵のコニャック風の古酒でも振る舞ってやろうかなどと考え
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