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不可能男との約束
貴方は私の敵
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ことくらいは余裕である。
だから、彼はそうした。
そこに熱田が激突する。
技も何もない力だけの上段からの斬撃であった。
ここまでに距離でも実は零距離の音ではないかと思うくらいの錯覚を得てしまう大きな音であった。しかし、二人はそんな事は気にせずに、ただ隆包は手に伝わる衝撃に顔を少し歪めている。
そこに二代が熱田の背中を蹴って、空を滑空するかのように前に進む。
そして、最後に激突音が響く。
ここまでに秒間でおよそ三、四秒。
実はほとんど見えていなかったのだが、何故かそこは表示枠に書き込まれた情報で解っただけである。というか、仕事しろ、とツッコミを内心でしながら、投げられたものが何かを判断できるようになった。

「三征西班牙アルカラ・デ・エナレス第三特務の立花・ァ……!」

そして、その名の意味は

「立花・宗茂の妻か!?」








ようやくです、と内心で呟きながら、視線を前に向ける。
目の前にいるのは本多・忠勝の娘であり、現、武蔵の副長補佐に付いている本多・二代である。
彼女にも因縁がある。
そもそも、最初に西国無双の名に傷をつけたのは彼女の父だ。
八つ当たりなどはする気などは一切ないが、やはり、気になるかならないかと言われれば気になる。
しかし、今の自分の目的に比べれば些末事である。
本当に見るのは、本多・二代の向こう。
剣神・熱田・シュウ。
私の夫である宗茂さまを傷つけた張本人。
その本人はこっちを見ていない。
理由は当然、目の前にいる隆包副長から目を話す事は危険だというのは戦いをするにあたって当たり前のこと。
誰が、理由無しに敵から目を離すようなことをするというのだ。
だが、その当たり前のことが

「武蔵副長……」

こっちに色々と思いを燃やさせた。

「返してもらいます……私達の今までとこれからを……!」










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