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俺様勇者と武闘家日記
第3部
サマンオサ
サマンオサの夜明け
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ない?」
「……もしかしなくても、そうだろう」
 すると、勢いよく扉が開かれるとともに、食堂に宿屋の主人が駆け込んできた。
「すみません!! ひょっとして皆様、先日王様に化けた魔物を退治してくださった方々ですか!?」
 あまりにも血相を変えてやってきたので、私たちは少し引き気味ながらも小さく頷いた。
「やはりそうでしたか!! いやあ、さっきお城の方で王様から発表がありまして、今まで玉座に座っていたのは自分に化けた魔物だとおっしゃってたんですよ。その魔物を倒したのがこの宿屋に泊まっているお客さんだと聞きまして、急いで確認しに参ったのです」
「あのー……、じゃあ外にいるあの人だかりは……」
「ええ、王様の話を聞いたこの町の人たちが、あなたたちのことを聞きつけてここにやってきたんでしょう。きっと魔物を倒してくれたあなたたちにお礼を伝えたいのだと思います」
 主人の言葉に、私たちは顔を見合わせた。どうやら私たちが眠っている間に、色んな事が起きていたらしい。
「随分と早い展開だな」
「ユウリちゃんの予想以上に、あの王様は国民思いなのかもね☆」
 王様の迅速な行動に、ユウリやシーラも感嘆の声を上げている。それだけサマンオサという国を元の平和な国に戻したいのだという、王様の強い願いを感じた。
「お礼を言いたいって言ってるけど、どうする?」
「そりゃあ、これだけの人が待っててくれてるんだし、行かないとダメじゃない?」
 ナギの問いに、私は当然のように答える。ユウリの意見も知りたいと視線を移すと、彼も目で頷いた。
 外に出ると、さらに人だかりは増していた。そして私たちの姿を見た途端、町の人たちは一斉にこちらに集まってきた。
「おお、あなた方が王様を救っていただいたのですね!!」
「ありがとうございます!! これで私たちの暮らしは良くなります!!」
「王様に化けた魔物を倒すなんて……、あなたたちはわが町を救った勇者です!!」
 皆疲れたような顔をしているが、どこか希望に満ち溢れた瞳をこちらに向けている。私たちがボストロールを倒したことで、町の人たちに希望の光を灯すことができたと考えると、本当に良かったと心底思えた。
「ふん。お前たちには俺が勇者だと名乗らなくともちゃんとわかっているようだな」
 相手から勇者だと称えられたユウリは、いつも以上に上機嫌になっている。
「へっ。別に一人で倒したわけじゃねえだろうが。調子のいい野郎だぜ」
 そんなユウリに対し、彼の見えないところでナギが一人ぶつぶつ文句を言っている。気持ちはわからなくもないが、ここはユウリの顔を立ててもいいんじゃないかな、と思う。
 すると、数人の子供がナギの方へと駆け寄ってきた。そして一列に並び、一人の子の合図で一斉に息を吸うと、大きく口を開けた。
『おにいちゃんたち。
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