第3部
サマンオサ
サマンオサの夜明け
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く夢の世界から離脱した。
寝癖でぐしゃぐしゃになった髪の毛を手ぐしで整えながら、私はベッドから起き出した。
「うわあ……。もう空が赤いんだけど」
それはつまり、丸一日寝てしまったということだ。こんなにたくさん寝たのは生まれて初めてだ。
それはそうと、先ほどからしきりにお腹が鳴っている。ここ数日あまり食事らしい食事も取っていなかったので、空腹が限界状態に達してしまっている。これはまずいと思い、すぐに身支度を整え、食事をすませる準備をした。
部屋を出て階段を降りると、すぐ傍に食堂が見える。食堂を覗くとシーラたちの他に客はいなかった。
「おはよう、もう皆ごはん食べた?」
食堂に入り、丸テーブルに向かい合うように座っているシーラたちにまっすぐ向かうと、私は皆に声をかけた。
「何がおはようだ、寝坊女。もう夕方だぞ」
「ごめん、久々に皆がいて安心したから、たくさん寝ちゃったよ」
「久々っつっても、この国に来てから数日しか経ってねえけどな」
言われてみればナギの言うとおりだ。けれど、体感的には一ヶ月くらい経っているように感じる。
「あたしたちはもう注文を済ませたから、ミオちんは好きなだけ料理を頼みなよ」
「え? そんなに贅沢して大丈夫なの?」
好きなだけ料理を頼むなんて、旅がらすの私たちにはそれこそ滅多に出来ることじゃないはずだ。
けれど何を言ってるんだと言わんばかりに、ナギが横から口を挟む。
「ここの宿代と食事代は、全部王様が払ってくれるらしいぜ」
「そうなの!?」
「お前が惰眠を貪ってる間に、城からの使者が来て伝えてくれた。あと、明日の昼には城に行くからな」
「わ、わかった」
その後、食事が来るまで皆でとりとめのない会話をしつつ、寝起きでボーッとしていた頭を少しずつ動かした。先に起きていたユウリとナギが町の様子を見に行ったとき、どうやらお城の方が騒がしかったらしい。きっと王様が国を建て直すために動いたのだろう。
「あの王様なら、きっとこの国も良くなるだろうね」
「おめでたい女だな。そうなるまでにどれだけの時間と労力がかかると思ってるんだ」
私が上機嫌でそう言うと、水を差すようにユウリが答えた。相変わらず一言多い勇者である。
そんな会話をしていると、何やら外が騒然としていることに気がついた。席を立ち、食堂の窓から外を覗いてみると、いつの間にか人だかりが出来ていた。
「宿屋の前に沢山人が集まってるよ!?」
「何?」
私の言葉に、他の三人も窓の周りにやって来て窓越しに外を眺める。
「うわあ、ホントだ〜☆ なんかのイベントかな?」
などと他人事のように言っていた私たちだったが、次第に集まる人の視線が皆私たちに向けられていることに気が付いた。
「ねえ、もしかしてこの人たちって、私たちのこと見て
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