第3部
サマンオサ
サマンオサの夜明け
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来なら我が城に招いて手厚く歓迎すべきところなのだが、このような状況下故、許してくれぬか」
「私共には身に余るお言葉です。それに私たちはいつでも殿下の味方です。何かあればすぐに駆けつけますので」
「うむ。その気持ちが何よりも心に響いてくる。我が国を救ったそなたたちは真の勇者だ。そなたたちのことは、私や子孫が後世まで語り継ぐだろう」
「ありがたきお言葉、恐れ入ります。ですが私たちの名を広めるよりも、まずは国のことを案じてください。この国には、魔物によって心身ともに苦痛を強いられた者が大勢いると聞きます」
「ああ、そうであったな。直近の課題は我が国を豊かにすること。それは国民に対しても同じであった」
「まずはお身体の方をご自愛なさってください。それと、このラーの鏡はお返し致します」
ユウリはナギから渡されたラーの鏡を、王様に手渡した。
「何から何まですまない。この鏡も、もとは城の宝物庫にあったものだ。無事に帰ってくれて何よりだ」
「では、私どもはこれで失礼致します」
そう言って恭しく一礼すると、ユウリはこの場から退出した。私たちもそれに倣って後にする。
その後私たちはナギの案内で、もと来た地下通路へと向かった。
外に出るといつの間にか空が白み始めており、東の空から太陽が顔を出していた。
私たちは一先ず一度宿に戻って身体を休めることにした。
余りにも早いチェックインに、私たちに叩き起こされた宿の主人は苦い顔をしたが、無理を承知で頼み込み、何とか四人分の部屋を取ることが出来た。
そして部屋に入って早々にベッドに潜り込むと、シーラと共にあっという間に眠りについた。隣の部屋の男二人も、物音ひとつしなかったところを見ると、こちらと同じような状態だったのかもしれない。とにかくお出掛け日和とも言える晴天の中、私たち四人はただひたすら眠り続けていたのだった。
「お〜い、ミオち〜ん。そろそろ起きよう〜?」
延々と身体が揺さぶられる感覚を心地よいと感じながら、私はゆるゆると目蓋を開けた。
「おはよ〜、ミオちん。よく眠れた?」
起きて最初に目に飛び込んできたのは、シーラの顔だった。ぼんやりした頭で目を擦るも、なかなか夢と現実の区別がつかない。
「あれぇ……? シーラって黒髪ショートじゃなかったっけ……?」
「何言ってんのミオちん!! そろそろごはん食べに行こうよ!! もう皆起きて待ってるよ!!」
先程よりも強く揺り起こしながら、シーラが強い口調で叫ぶ。そこでようやく、私のお腹が鳴った。
「あ、確かにお腹空いたかも……」
間抜けなことを言い放つ私にすっかり呆れた様子のシーラは、お手上げと言わんばかりに私から離れた。
「もう!! 先に皆で下の食堂に行ってるからね!!」
珍しく怒った口調のシーラに、私はようや
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