第3部
サマンオサ
サマンオサの夜明け
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『ギャアアアアアアッッッッ!!!!』
魔物の断末魔が、お城の最上階にある寝室に響き渡る。それは魔物に支配された暗雲立ち込めるサマンオサの空を打ち破るかのようでもあった。
「おい見ろ! ボストロールが……」
傍にいたナギが、視線の先にいる一匹の魔物を指差す。ユウリの放った閃光の斬撃によって斬り伏せられたボストロールの身体が、紫色の血飛沫を上げながらその場に崩れるように倒れた。それきりボストロールは動かなくなり、やがて魔物の身体は禍々しい障気を放ちながら、みるみるうちに溶けて行く。
「やった……!! ボストロールを倒した!!」
今度こそ本当に、ボストロールを倒したんだ!!
私は嬉しさのあまり近くにいたナギと抱き合いながら、戦闘に勝利したことに歓喜した。
「やったあぁぁ!! 私たち、魔王軍の四天王ってやつに勝ったんだ!!」
「そーだぞ!! 四天王がどんなのか知らねえけど、勝ったんだぞオレたち!!」
四天王の情報が曖昧なままだが、私たちはおそらく今まで出会った中で一番強いと思われる魔物に勝つことが出来た。この例えようもない喜びに、私とナギはお互いを誉め称えた。
「自らの無知さをひけらかして恥ずかしくないのかお前らは」
「いたたたた!!」
「いててて!! 髪を引っ張んな!!」
いつの間にか私たちの間に現れたユウリが、私とナギの髪の毛を引っ張りながら文句を言い放った。けど今は彼のそんな行動に目くじら立てるより、一緒に喜びを分かち合いたい気持ちの方が強かった。
「ユウリも最後の攻撃、決まってたよ!! かっこよかった!!」
「……ふん。当然だ」
そっけない態度ではあるが、照れているように見えるのは気のせいではないはずだ。
「そういや、ルークの奴は無事なのか?」
「そうだ、シーラ!!」
ナギの言葉に、私は部屋の端でずっとルークの治療を続けているシーラに目を向けた。彼女は横たわるルークの前で何やら祈りを捧げている。
「シーラ、大丈夫!?」
私が駆け寄ると、目を瞑っていたシーラは近づいてきた私に反応し、目を開けてこちらを向いた。その表情には、疲れの色が滲んでいる。
ま、まさか……。
「ミオちん……。とりあえずるーたんは無事だよ。傷はふさがったか ら、あとは意識が戻れば大丈夫」
「ホント!? よかった!!」
ルークが無事だとわかり、私はほっと胸をなでおろす。後から来たナギとユウリも、ルークの容態を見て一安心したようだ。
「それにしても皆、すごかったね!! まさか三人であの魔物を倒すなんて、びっくりしたよ!!」
「へへ。シーラもルークのことを看てくれてありがとう。シーラがいたから、私も安心して戦うことが出来たよ」
「賢者だもん。そのくらいのことはしないと、お祖父様に怒られちゃうよ♪」
そう言ってシーラ
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