第3部
サマンオサ
変化の杖
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ルスライムの俊足、氷の息を吐くドラゴンの顔、そしてでっぷりと肥えたままの胴体は、明らかに異質だった。色んな魔物の一部分を無理やりあちこちにくっつけたようなその姿は、もはや魔物というより異形の化け物だ。
「気持ち悪い姿してんじゃねーよ!!」
ナギの声もむなしく、彼の一撃はメタルスライムの足を持ったボストロールに難なく避けられる。次いでユウリの一振りが繰り出されるも、ドラゴンの顔から放たれる冷たい息によって防がれる。
攻撃をするごとに特性を持つ魔物の一部分に変化させられ、ボストロールの弱点はなくなってしまった。
??いや、まだある!!
「二人とも!! 『私』を!!」
『!!』
私の『声』に、二人は否応なく頷く。『作戦B』の合図だ。
「あいつのお腹に集中攻撃して!!」
返事はせずとも、二人とも私の指示通りボストロールのお腹に狙いを定め、攻撃を仕掛ける。さすがのボストロールも二人の存在を見逃すはずもなく、臨戦態勢を取る。
その間に私は、ボストロールの死角に回り込んだ。
「ライデイン!!」
ユウリの雷撃呪文が、ボストロールのわき腹を掠める。その隙にナギがチェーンクロスで追撃するが、メタルスライムの足となったボストロールは回避率も上がり、攻撃が当てられないでいる。
それでも二人はしつこく猛攻し続け、ボストロールの顔にわずかに焦りの色を生み出した。
『しつこい奴らめ!! こうなれば……』
ボストロールの変化の杖を持つ手に力が入り、かすかに杖に光が灯る。
『変化!!』
ボストロールが自身の腹部に向けて杖を振り下ろす。その瞬間、ボストロールの胴体が亀の甲羅のような姿へと変わっていく。今度は防御力を強化するつもりだろうか。
だがそれよりも、この時を待っていた!!
ボストロールの傍まで近づいていた私は、星降る腕輪の力を最大限に引き出すと、瞬時にそいつの杖を持つ腕めがけて鉄の爪を振り下ろした。
ザンッッ!!
『ギャアアァァッッ!!』
変化の杖を握り締めたままのボストロールの腕を斬り落とすと、私はそのまま床に落ちた変化の杖を拾い上げた。
「ナイス、ミオ!!」
『作戦B』、つまり一人が敵の懐に入り込み、あとの二人がおとりになって気をそらせる。その間に一人が敵に攻撃する。今回は合図を言った私が敵に近づいたという訳だ。
そして私が狙いを定めたのは、唯一変化の杖で変化できない場所、つまり杖を持っている方の腕だ。さらに杖を奪えば、これ以上体を変化させることはできない。
『き、貴様あああ!! 人間の分際で!!」
我を失ったボストロールは、脇目も振らず私……いや私が持っている変化の杖を奪おうと迫ってきた。だが、私だけにとらわれるあまり、周りの様子に気が付いていない。
「確かスノードラゴンはラリホー系が効くんだっ
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