第3部
サマンオサ
変化の杖
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いく。
??あれは、ドラゴン!?
確かランシールの『地球のへそ』で遭遇した、炎を吐くドラゴンだ。確か『スカイドラゴン』って言ってたっけ。
ボストロールは顔だけスカイドラゴンに変化させると、思い切り息を吸い込んだ。
まさかこんな室内で、炎を吐くの!?
対象物に向かって燃え続けるベギラマとはわけが違う。いくら広い王様の寝室でも、広範囲に広がる炎を放てば、たちまち部屋は火に包まれ、しまいにはお城全体が火事になってしまうだろう。
そうこうしている間に、ドラゴンの顔をしたボストロールは私に向けて息を吐き出した!
ビュゴオオオオオオッッ!!
「きゃああああっっ!!」
熱い……と思いきや、ものすごい冷気が全身に吹き付けてくる。
「冷たっ!!」
冷気とともに、冷たくて硬い氷の礫が体のあちこちに当たりまくる。手足はかじかみ、思うように動かない。
よくよく見ると、スカイドラゴンに似てはいるが、皮膚の色が微妙に違うような気がする。もしかして別の種類のドラゴンなのだろうか。
「この馬鹿!! 何呑気に突っ立ってるんだ!!」
ぐいと後ろから体を引っ張られ、冷気から免れる私。いつの間にかユウリが、私の傍までやってきていた。
「ベギラマ!!」
ユウリのベギラマが、ボストロールの放った冷気とぶつかって、辺り一面水蒸気に包まれた。
「ありがとう、ユウリ!」
返事をする間もなく、ユウリは私の顔の前に手のひらを広げた。
「ホイミ!」
短い声で呪文を唱えたと同時に、氷の礫によって傷つけられた私の身体が、あっという間に治っていく。
「お前に助けられたと思ったが、相変わらずだなお前は」
そう言いながらため息を一つつく彼を、私は腕を掴んで引き留めた。
「ユウリ、ナギが『作戦B』だって!!」
手短に作戦を伝えると、ユウリはすぐにナギに視線を向けた。
「ちょうどバカザルと同じことを考えていた。おそらくだが、あの杖は自分の姿を変化させているときは、相手の姿を変えることはできないみたいだな」
確かに、ボストロールが自身の腕を変化させる前は他の魔物の姿を変えていたのに、今はそれをしていない。私たちの姿を変えるチャンスは何度もあったのに、あえてそれをしていないのは、きっとそういう理由があるのだろう。
「行くぞ!」
その言葉を合図に、私とユウリはそれぞれ別の方向からボストロールに向かって走り出した。
三方向から襲い掛かられたボストロールは、今度は自身の足に変化の杖を振りかざした。
??一体何回姿を変えれば気が済むの!?
『変化!!』
トロールの皮膚だった足は、瞬く間に艶やかな鋼色に変わる。そしてボストロールは私たちの一斉攻撃を、俊敏な動きで素早くかわした。
あの速さと足の色はもしかして、メタルスライム!?
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