第30話後半
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エネルギー兵器
巨大な反応炉からこの超兵器オメガ・アナイアレイション・ランスに供給され、使用されれば目標は跡形もなく破壊される。
「発射!」
それが今、発射された。
紅の光芒が、〈滅びの方舟〉を襲い、閃光が宙域を覆った。
ズォーダーは、自分の身を置く方舟の中枢にて、ミドガルドの〈スターダスト〉からの攻撃を、忌々し気に注視していた。
「テレサめ……」
何故、あのような存在がいるのか?
何故、あのような存在を気づくことが私は出来なかったのだ?
次々と疑問が湧き、ズォーダーはより”彼女”を憎む。
相手は…テレサだ。
高次元世界にいるだけで、何も出来よう筈も無かったテレサは、よもや地球の〈ヤマト〉と同じくミドガルドが〈滅びの方舟〉を阻止することを見通していたというのか?
ふざけるな!千年の絶望、慚愧は全て無駄だというのか?
それに加え、だ。
〈滅びの方舟〉は、ミドガルドの攻撃に対し防衛策を実行しない。攻撃は一回は可能であったのにそれ以降は何故出来ない?
何故だ、何故、己と一体化した筈の〈滅びの方舟〉は、指示を受けつけない?
何故、何故、何故、何故!
「テレサめ…ッ!!」
憎しみを含めた言葉を放った直後、”彼女”の声が聞こえた。
「ごめんなさい」
「ッ――!?」
ギョッとして振り返るズォーダー。
そこには、方舟に身を捧げる際に共に生贄となったサーベラーが、何故か黒髪の姿で立っていた。それは、桂木透子として潜り込んでいたサーベラーの純粋体のコピーであった。
「サーベラー……お前が……? 」
制御機能は掌握していた筈なのに、まさか、奪取したとでもいうのか?
ズォーダーは驚きを隠せずにいた。
「私が、〈滅びの方舟〉を蘇らせてしまったばかりに……愛しい貴方に千年もの憎しみを抱え続けさせてしまった」
「……違う」
ポツリと、ズォーダーは否定する。それでも、サーベラーの口は止まらない。
次第に、耐え兼ねたのか、涙がポロポロと溢れ始める。これまで、ズォーダーが幾度となくサーベラーの命を奪った際に見てきた涙であった。
それを見たズォーダーは、己の内にある憎しみと絶望に対する感情が揺らいでいく。
愛を育んだ女性を奪われた事に対する、激しい憎悪で動き続けて来たズォーダーであったが、それは同時に、サーベラーに対しても相応の時間と記憶を重ねさせてきた証しであり、…彼女を己の手で殺した記憶も重ねている。
サーベラーも、記憶が戻るたびにズォーダーを静止し、彼に殺される記憶があり、重ねていった。
既に〈滅びの方舟〉の崩壊が始まっている。
「私
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