第29話
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いのだがやはり緊張はする。思わず強張った表情をしてしまうのは仕方がなかった。
しばらくすると演説が始まったことが報告された。
「モニターに映します」
ブリッジのモニターに【総統】の姿が映し出された。
誰もが固唾を飲み、見守っていた。
演壇に立つ、【総統】。
高身長でスラリとしモデルのよう。長いエメラルドグリーンの髪で、瞳はキリッとしたツリ目。一言で表すとエメラルドグリーン髪のクール系美女。
ギルド長の代理人にして七大ミドガルドギルド統治者筆頭の第一席であった彼女であったが、ギルド長より【総統】という地位を与えられ就任した人物。
実質ギルド長に次ぐナンバー2である彼女、総統は上に立ち率いる者としての威厳が、確かにあった。
画面越しにも関わらず総統のその重圧に襲われたオリアナは、身震いしてしまう。
総統はまだ喋ろうともしない。
何故なら画面越しでもブリッジでも、未だに歓声が収まらないからだ。*主にプレイヤーが。
総統は片手を上げた途端、耳を覆いたくなる程の歓声が水を打ったかようにシーンと静まり返る。
皆一様に固唾を飲んで総統の次の一言を待っているようだった。
『私がWSO世界にて総統に就任し、長年に渡り舵取りする立場となった。総統職はミドガルドギルドを君臨するギルド長より一任され、ギルドを代理として運営する存在だ。ーーー』
ついに演説が始まった。
落ち着いた声のトーンで総統は演説を続ける。
『ーーー諸君、我ら(プレイヤー)が生まれ育ったリアル世界、地球は今まさに、ガトランティスによって滅亡の危機に晒されている』
『ガトランティスは白色彗星に擬態した木星規模の人工天体と共に、宇宙中を駆け抜けては星々を席巻し、他文明を圧し根絶する。…次なるその対象は、我らが故郷の地球』
まさに悲劇で、しかし真実であり現在進行系で【対象】に選ばれた地球は、ガトランティスによって滅亡の危機の中にあった。
『ーーー地球は滅亡の渦の中へと飲み込まれ、消え去ってしまう。侵略者であるガトランティスは気にもしない。…まるで、いや、もはや荒らしだ!』
総統の演説は嘆きから怒りに変わった。
『何故に母なる地球がッ、荒らしであるガトランティスを前に屈辱の涙を流さなければならないのか!ふざけるな!!』
身振り手振りを交えつつ、更には次第に熱を帯び、語気を強くする総統の演説。総統のこの姿は、感情的な一面を与え、聞く者の心を完璧に支配した。
そして、彼女は両腕を前に大きく広げ、宣言する。
『我々は大攻勢に転じる!ミドガルドギルドはガトランティスに対し、【対荒らし殲滅プロトコル】を発動することを、ここに宣言する!!』
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