第三章
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「ようやくだよ」
「出来ましたね」
「再建出来ましたね」
「そうなりましたね」
「うん、再開はまだで」
劇場のというのだ。
「予定もないけれど」
「それでもですね」
「再建は出来ましたね」
「それはなりましたね」
「なったよ、本当に上演の予定はね」
これはとだ、コズイレンは言った。
「ないし俳優さんも女優さんもね」
「まだ散り散りで」
「行方不明の人もいますね」
「そしてお亡くなりになった人も」
「劇団も楽団もそうした状況で」
「上演はまだですね」
「何も決まってないよ、けれど再建は出来て」
劇場のというのだ。
「そして私達もいるんだ」
「はい、スタッフが」
「何とか戻ってこられましたね」
「生きている者達だけでも」
「ここに戻ってこられましたね」
「だったらこれからだよ」
笑顔で言うのだった。
「本当にね」
「そうですね」
「まさにこれからですね」
「再建は出来て人も戻って来た」
「それならですね」
「やっていこう、そしてこれまでの様に」
戦争がはじまる前の様にというのだ。
「素晴らしい舞台を上演していこう、そして我が国も」
「はい、復興してきましたし」
「戦争がはじまる前の様にですね」
「幸せになりますね」
「これからは」
「戦争は確かに痛いよ」
コズイネンはこのことは苦い顔で言った。
「あんな酷いものはない」
「全くですね」
「国が廃墟になりました」
「多くの人が死にました」
「劇場も壊されましたし」
「酷いよ、けれどね」
それでもというのだ。
「きっとだよ」
「この劇場の様にですね」
「復興出来ますね」
「そして戦争がはじまる前の様にやっていけますね」
「乗り越えられるよ」
戦争がもたらす戦禍をというのだ。
「必ずね、だから街を観ると」
「はい、復興してきています」
「確かに」
「劇場だけでなく街も」
「他の場所も」
「だからね」
それでというのだ。
「上演していこう」
「はい、次は」
「そうしていきましょう」
「今度は」
「戦争前の様にね」
コズイネンは笑ってこうも言った、そして実際に舞台をまた上演出来る様にした。その頃にはだった。
祖国も復興していっていた、そしてだった。
戦争前の様に誰もが笑顔で過ごせる様になっていた。そしてコズイレンもスタッフ達も忙しい日々を送る様になっていた、彼等はその忙しさを満喫して言った。
「こうしてまた劇場で舞台を上演出来る」
「最高に幸せだよ」
「再建してそうなって」
「どれだけいいか」
口々に言うのだった、再建されたその劇場の中で。
崩れた劇場 完
2024・2・12
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