第二章
[8]前話
「税も収めてもらうし用も申し付けるが」
「従えばですか」
「それでよい、だからな」
それでというのだ。
「そなた達もだ」
「ここまで寛大ですか」
「これがモンゴルの常だ」
「左様ですね」
「その通りだ、それでこれから食事だが」
ハーンは使者にこうも言った。
「そなたもどうだ」
「私もですか」
「折角来たのだ」
だからだというのだ。
「ここでだ」
「ご相伴して宜しいのですか」
「構わぬ。どうだ」
「お言葉に甘えまして」
それでとだ。
使者は応えた、そしてだった。
ハーンそれに居並ぶ重臣達と共に飲んで食べはじめた、それはモンゴルの料理で羊の肉に乳製品にだった。
馬乳酒もあった、使者はその酒を飲んで言った。
「これは」
「どうであるか」
「あまり強くなく」
ハーンに飲んでから答えた。
「多く飲めます」
「それで身体にいいからな」
「だからですか」
「我が民達はよく飲んでいる」
モンゴルの者達はというのだ。
「そうしているのだ」
「左様ですか」
「そのことがわかったな」
「よく。ただ」
使者はハーンの言葉に頷いた、だがだった。
ここでだ、彼はこうも言ったのだった。
「ハーン、宜しいでしょうか」
「何であるか」
「まずご無礼をお許し下さい」
「無礼だと」
「これからの私の言うことに気分を害されたなら」
そうなればというのだ。
「無礼ですので」
「何を言うのか」
「はい、馬乳酒のことはわかりましたが」
今話を聞いてというのだ。
「よく。ただハーンはあまり飲まれていませんね」
「そのことか」
「ご気分を害されたなら申し訳ありません」
「こんなことで気分を害したりはせぬ」
ハーンは使者に鷹揚に笑って応えた。
「安心せよ」
「そうなのですね」
「実はわしは酒はあまり強くないのだ」
ハーンは自ら話した。
「だからだ」
「それ程飲まれないのですね」
「そうなのだ」
「そうした事情がおありでしたか」
「左様、これでわかったな」
「はい」
使者は確かな声で答えた。
「ハーンのことも」
「そうなのだ、モンゴルの者達もそれぞれな」
「酒の強い弱いがありますか」
「そのことも覚えたな」
「そうなりました」
「では飲もうぞ」
こう言ってだった、ハーンは酒を少し飲んだ。居並ぶモンゴルの者達はどんどん飲み使者もそうした。羊肉や乳製品と共に飲むその酒は美味いものだった。
馬乳酒 完
2024・2・14
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