第二章
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「抵抗はない」
「そうだな」
「しかしだ」
それでもと言うのだった。
「お主もだな」
「エア神から聞いたからな」
そうしなければならないとだ。
「いい、しかしだな」
「わし等は場違いだな」
「冥界の神々は着飾っている」
「飾りものまで付けている」
金や銀、宝石によって造られたものばかりである。
「見事なものだ」
「全くだな」
ギルガメシュも頷いた。
「実に」
「しかも賑やかに話している」
エンキドゥはこのことも話した。
「わしはその方が好きだが」
「エア神からの忠告だ」
「それならば聞かねばな」
「神の言われることだ」
「聞かねばならない、だが」
それでもというのだ。
「宴で喋ってはならぬ」
「このこともだな」
「実に場違いだ」
「全くだな、だがまだ死にたくないな」
「うむ」
親友にその通りだと頷いて答えた。
「わしもな」
「なら人の世に戻るまでな」
「粗末な服でな」
「声を出さぬ様にしよう」
「そうしよう」
こう二人で話してだった。
実際に彼等は喋らなかった、そうして酒も馳走も楽しんでだった。
宴が終わると人の世に戻った、二人は自分達のウルクの宮殿に戻ると疲れ切った顔になって話をした。
「いや、疲れたな」
「全くだ」
やれやれといった顔で言うのだった。
「この度のことは」
「実にな」
「疲れた」
「宴なのに粗末な服を着てだ」
「周りが見事に着飾った中で」
「その場違いな感じに思うものがあり」
「喋ってもならない」
この二つのことを話すのだった。
「周りが話しているのに」
「自分達だけが喋らないとな」
「周りに何も言われずとも」
「実に辛い」
こう話すのだった。
「旅の間もな」
「冥界の神の宮殿にまで行き」
「そしてここまで帰るまでもな」
「実に疲れた」
「幾ら死なぬ為とはいえ」
「こんなに疲れるとはな」
「いいものではなかった」
「全くだ」
二人で疲れきった顔で話した、そしてだった。
ギルガメシュはことの次第を聞きに来たエアにだ、苦い顔で話した。
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