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北朝鮮はいい国
第一章

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               北朝鮮はいい国
 工事現場で監督をしている三上重一は家で息子で中学生の重太郎に言われた、二人共長方形のン顔で目は細く小さく唇は薄く黒髪は短い。父親は筋肉質で長身だが息子は中学生にしては背が高いがまだ成長中の身体だ。
「父ちゃん、北朝鮮っていい国か?」
「お前起きてるか?」 
 仕事から帰って夕食の時にビールを飲みつつ息子に返した。
「北朝鮮だぞ」
「いや、今日学校で先生が言ってたんだよ」
「あの国がいい国ってか」
「凄くいい国だってな」
「その先生馬鹿か」
 父は本気で言った。
「それもとびきりの」
「学校の先生が馬鹿って」
「いや、馬鹿だろ」
 こう言うのだった。
「どう聞いても」
「何でそう言うんだ?」
「北朝鮮の何処がいい国なんだ」
「あの国がか」
「お前もテレビやネットで見てるだろ」
 そうした媒体でというのだ。
「あの国のことは」
「変な行進してるよな」
 息子はこう返した。
「膝を無茶苦茶上げた」
「それで軍事パレードばかりしてるな」
「そうだろ」
「軍隊ばかり出て」
 そうしてというのだ。
「ミサイルどこどこ撃って核兵器開発してな」
「独裁政治だろ」
「将軍様のな」
「それに」
 息子はさらに言った。
「世襲で」
「あの太った将軍様の一族のな」
「本当に太ってるなあの将軍様」
「最初の人も今の将軍様もな」
「二代揃ってな」
「それで他の人痩せてるだろ」
 将軍様は太っているがというのだ。
「あそこは」
「食べものないって聞いてるけれど」
「ないんだよ」
 実際にというのだ。
「お前今日朝に昼版全部食ったな」
「昼は給食だったお」
「あそこは二食どころか下手したらずっとなくてな」
 食べるものがというのだ。
「餓え死にする人もいるんだぞ」
「そんな国なんだ」
「しかも自由に言えないからな」
 好きなことをというのだ。
「下手なこと言えば収容所だぞ」
「粛清ってあるって聞いたけれど」
「普通にあるんだよ」
 北朝鮮ではというのだ。
「旅行も出来ない、プレステもない、本当に何もないな」
「酷い国か」
「そんなのお前も聞いてる位でな」
 中学生の息子でもというのだ。
「あの国がいい筈ないだろ」
「最悪の国なんだ」
「そうだよ、その先生馬鹿だな」
「あの国はいい国って言うから」
「そうだ、どうせ日本はこき下ろすだろ」
「戦争したとか政治家がどうとか」
「戦争ならあの国もやったぞ」
 北朝鮮もというのだ。
「韓国に攻め込んでな」
「ああ、朝鮮戦争」
「そうだよ、それでテロだってやってな」 
 父はビールを飲みつつさらに話した。
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