第二章
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千佳はカープの帽子、法被にメガホンで完全武装している。兄は阪神グッズで身を包んだうえで妹に言った。
「まだ許されるけれどな」
「カープはね」
「阪神はな」
「これが巨人だとね」
「そもそも僕が許さない」
兄は虎キチとして答えた。
「何があってもな」
「そうよね」
「巨人なんて絶対に許すものか」
「私もよ、あんな邪悪なチーム負けまくったらいいのよ」
千佳もこの思いは同じだった。
「何が九十周年よ」
「九十年間悪いことばかりしてきたな」
「そんなチームを応援する位なら」
千佳は鳴尾浜に向かう電車の中で共にいる兄に言った、二人並んでそれぞれの完全武装で座っている。
「野球自体応援しないわ」
「そうだよな」
「本当にね」
まさにというのだ。
「巨人だけはないわ」
「そうだな」
「ええ、だからそのことは安心して」
「おかしくならない限りだな」
「巨人なんて応援するどころか」
「死ぬ程嫌いなままだな」
「そのままでいるわ」
即ち生粋のアンチ巨人でいるというのだ。
「本当にね」
「僕もだよ、まあ千佳もよく甲子園に来るし」
「三塁側でね」
カープは甲子園ではビジターなのでそちら側になる。
「いつも応援してるでしょ」
「それで僕の妹だしな」
「お兄ちゃんいつも甲子園に行ってるから」
「ファンの人達の中でも有名になってるよ」
「そのお兄ちゃんの妹だから」
「それでな」
その為にというのだ。
「阪神ファンの人達の間でも有名だよ」
「だからこの恰好でもなのね」
「問題ないよ、少なくとも阪神の悪口言わないし」
「巨人以外は言わないわ」
「僕もだよ、それじゃあな」
「ええ、この格好で行くわ」
「鳴尾浜とのお別れに」
こう言ってだった。
兄妹で鳴尾浜に行った、鳴尾浜に着くと寿は笑顔になりつつも寂しさも漂わせてこんなことを言った。
「ここにもよく来たな」
「二軍の人達のチェックにね」
「二軍がどうかで変わるからな」
こう妹に言うのだった。
「チームは」
「二軍で選手の人達を育てて」
「そしてだよ」
そのうえでというのだ。
「一軍で戦う」
「そうするわね」
「だから二軍が確かだと」
「一軍も強くなるわ」
「カープなんて特にそうだろ」
「うちは育成第一だから」
それでというのだ。
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