暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十七章―双剣―#6
[9/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
を棍棒と競り合えるよう改善すべきだろう。あの棍棒が他にもないとは限らない。

「レド様、折れた剣を直して、すべての武具の【防衛(プロテクション)】をかけ直します。そうすれば、あの棍棒に折られることはなくなります」
「頼む」

「ラムル、ジグ───少しの間、魔獣を押さえていてもらえますか?」
「「御意」」

 ラムルは、魔導機構に収めてある大剣を取り寄せると、伺うように視線を寄越した。

「旦那様、【固有能力】を使うことを────お許しいただけますか?」

 ラムルの固有能力【回帰】は、かなり有力ではあるものの、相応の魔力が必要となる。

「許可する」

 レド様の承諾を受けて、ラムルの口角が僅かに上がる。そして────ラムルは【回帰】を発動させた。

 ラムルの体が、足元に展開した魔術式の発した光に包まれる。光が収まったときには、ラムルの体形は微妙に変化していた。元々胸板の厚い大柄な体格だったが、発動前に増して筋骨隆々となっている。


 ラムルは、本来、ファルリエム辺境伯家に騎士として仕えていたのだそうだ。

 セアラ様の側付きは別の者に任せる予定だったが、諸事情があってラムルに変更されたらしく────そのため、戦い方や得物を変えるにあたり、努力して身体も造り変えたとのことだ。

 騎士だった頃の得物である大剣は今でも扱えはするものの────本人曰く、以前に比べるべくもないらしい。手合わせした限りでは、それでも、Aランカーと渡り合えるくらいには強いと私は感じたけれど。

 騎士だった当時、その実力は────亡くなったファルリエム辺境伯に肩を並べるほどだったと、カデアが誇らしげに教えてくれた。

 この【回帰】という固有能力は、その騎士だった頃の体格や身体の状態を、魔力で再現させることができる。

 つまり────今のラムルは、亡きファルリエム辺境伯に匹敵する“剣士”ということだ。


「それでは、ジグ───行くぞ」
「は」

 私が降らせた氷刃を捌き切った魔獣に、ジグが2本の短剣と【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】を、立て続けに放つ。

 大剣を構えたラムルが駆け出すのを見送ると、私はレド様へと視線を戻す。

 私は【認識妨害(ジャミング)】を発動させてから、【聖剣】以外の武具すべてを取り寄せた。念のため、私の武具も新たに【防衛(プロテクション)】を施しておいた方がいいだろう。

 同じく、レド様も【遠隔(リモート・)管理(コントロール)】で、【神剣】以外の武具を───破片も含めて、すべて取り寄せる。

 時間がないので、レド様のものと私のもの、一気に済ませてしまうことにする。まずは、【防衛(プロテクション)】を解かなければ。

「【|防衛《プロテクショ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ