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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十七章―双剣―#6
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魔獣が私を目掛けて、棍棒を突き出す。
振り下ろされたのなら、【誓約の剣】で斬ることができるが───この状態では、刀を振るっても先端を斬ることになるだけで、攻撃は避けられない。
私が後ろに向かって跳ぶのと同時に、左側から奔り込んだレド様が、ハルバードで棍棒を弾いた。
魔獣はすぐに手首を返して、レド様に棍棒を振り下ろす。レド様は【
防御
(
ガード
)
】を発動して、それを受け止める。
ラムルとジグ、レナスがそれぞれ攻撃を加えるが、やはり【結界】で防がれた。
レド様の後ろを通り抜けて躍り出た私が棍棒に太刀を振ると、【聖剣】を警戒した魔獣は棍棒を振り上げて躱す。
そして、振り上げた勢いを利用して身を捻ると、私に向かって右足を蹴り上げる。魔獣の爪先によって巻き上げられた砂と土が、先程同様に私の視界を塞ぐ。土砂が目に入ったら、間隙を生む。
「【
防
(
プロテ
)
衛
(
クション
)
】!」
私は咄嗟に───砂や土、魔獣の足を止めるために、【
防
(
プロテ
)
衛
(
クション
)
】を発動させた。
蹴りを弾かれた魔獣は、すぐに右足を着地させて、【
防
(
プロテ
)
衛
(
クション
)
】を叩き消そうと棍棒を振り下ろした。
私は地を蹴って後ろへと退き、太刀を構えて棍棒を振り切った後の隙を狙うべく備えたが─────
「え?」
思わず、声が零れた。
魔獣の棍棒は、【
防
(
プロテ
)
衛
(
クション
)
】を叩き消すことはできず────その振り下ろした自らの勢いの分、弾き返されただけだった。
【
防
(
プロテ
)
衛
(
クション
)
】を施してあったレド様の武具は砕かれたのに、何故────そんな疑問が過るが、今は考えている場合じゃないと切り替える。
中途半端に振り上げられた状態の棍棒に向かって、太刀を振るう。魔獣は、太刀の軌道に合わせるように棍棒を逸らす。
太刀は、棍棒の突起を一つ削ることしかできなかった。
ラムルとジグの短剣、レナスの魔力の刃、レド様の矢が、矢継ぎ早に魔獣を襲う。
それぞれ別方向から襲い来るそれらを、魔獣は、後ろへと跳びながら───その巨体に見合わぬ素早さで棍棒を縦横に振るって、すべて弾き返す。
「っ?」
弾かれて飛ぶ、ラムルとジグの大振りの短剣。掻き消される、レナスの【月虹】によって繰り出された魔力の刃。そして────木っ端微塵に砕け散る、レド様が放った矢の
鏃
(
やじり
)
。
それを見て────ついさっきの土砂が飛び散って宙を舞う光景が鮮明に甦った。その中の、砂と土に紛れて舞う、砕かれたレド様の剣の───縁が黒ずんだ
月
(
マーニ・
)
銀
(
シルバー
)
の白い欠片。
まるで、地下遺跡で対峙した魔獣の振るう【聖剣】によって腐食した【月虹】のように、縁が黒ずんで
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