暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十七章―双剣―#6
[4/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
あのときと条件は同じだ。魔獣を討つには、【結界】と【霊剣】の両方を何とかしなければならないということだ。

 あのときはレナスと二人だけだったけど、今回は他にも頼れる仲間がいるし───何より、レド様がいる。その上、競り合うのは【聖剣】でなく【霊剣】だ。

「俺があの黒い棍棒を押さえ込む!ラムル!」

 レド様の意を汲んだラムルが再び短剣を魔獣に向かって投げ、掌から広げるようにして再び張られていた魔獣の【結界】を崩す。

 そこへレド様が奔り込む。魔獣はレド様が剣を振るう前に、レド様目掛けて棍棒を振り下ろした。レド様は【身体強化(フィジカル・ブースト)】を発動させて、それを大剣で受け止める。

 ラムルが両手を振るって2本の短剣を投擲すると同時に、私が左方向───ジグが右方向の二方向から魔獣の首を狙って【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】を放つ。

 魔獣は、【結界】を貼り付けた掌でラムルの短剣を振り払う。私とジグが放った【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】が魔獣の首に届くかに思われたが、魔獣は棍棒をレド様の大剣から離し、即座に大きく振るって、二つの風刃を薙ぎ払う。

 レド様を挟んで右側にいるレナスが【月虹】を振り抜き、魔力の刃が魔獣に向かっていく。魔獣は、棍棒で弾くために手首を返す。レド様が今度こそ棍棒を押さえ込むために、大剣を棍棒に向かって叩きつけた。

 レド様の大剣は、魔獣の棍棒と同じ【霊剣】で、私が【防衛(プロテクション)】を施してある。だから────破壊できないとしても、魔獣の棍棒とは競り合えるはずだった。事実、先程は魔獣の棍棒を受け止めた。

 それなのに────

「っ?!」

 バキンッ────と、耳障りな音が響き、レド様の大剣が半ばから砕けた。剣の欠片が宙に舞い、月光を受けて煌く。

 思いも寄らなかったその事象に───信じられないその光景に、レド様だけでなく、この場にいる仲間たち全員が、一瞬、虚を衝かれる。

 レド様の大剣によって多少は勢いが削がれたものの────魔獣は棍棒を止めることなく振り抜き、レナスの放った魔力の刃を掻き消した。魔獣はまた手首を返して、今度は棍棒をレド様に向かって振り下ろす。

「【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】ッ!!」

 我に返った私は、【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】を発動して、棍棒にぶつける。風の刃は棍棒に弾かれ霧散したが、棍棒の速度を落とすことには成功した。

 レド様は、咄嗟に折れた大剣を両手剣に替え、棍棒を迎え撃つ。

 レド様が今手にしている両手剣は、素材や位階など───条件は大剣とすべて同じだ。おそらく、この両手剣もそう長くは耐えられない。

 ならば────その前に魔獣を討つ…!

「ラムル、ジグ、レナス───援護を!」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ