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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#5
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来ました。陣形を変えたようです≫
≪解った。引き続き、援護と連絡役を頼む≫
≪かしこまりました≫

 セレナはルガレドへの報告を終えて魔道具をポーチにしまってから、援護をするべく短杖を両手で持ち直す。そして、再び仲間たちの状況に目を向けようとしたとき────傍らに控えているヴァイスが不意に呟いた。

「む───音が変わった?」

 セレナの隣に四肢を折り畳んで座り込んでいるネロが、きょとんとした表情でヴァイスを見る。

「さっきから鳴ってるこの変なののこと?」
「そうだ」
「確かに、さっきとちがうかも」
「おそらく、動き出すつもりなのだろう」

 セレナは、ヴァイスとネロと会話の意味が───何が動き出すのかが解らず、思わず眼を瞬かせた。

 耳を澄ましてみても、剣戟や魔物が倒れ込む音、怒号や掛け声しか聞こえない。

「私には、何も聞こえませんが…?」
「まあ、そうだろう。あれは────人間の耳では捉えるのは無理だ」

 セレナを一瞥した後、ヴァイスはまた正面に視線を戻して口を開く。

「ずっと1頭の()()()()()()が周囲に向けて何やら音を発していたのだが───それが止んで、今度は先程とは違う音を発し始めたのだ。どうやら何かを知らせているか、もしくは命じているらしい。他の()()()()()()───人間は“コボルト”と呼んでいるんだったか───奴らがそれに反応しているみたいでな。ああ────ほら、やはり動き出したようだ」

 ヴァイスが説明してくれたが、セレナには解るようでよく解らない。魔物たちは、人間の耳では聞こえない音で遣り取りしている、ということだろうか。

 それに─────

(“なりそこない”…?)

「それは」

 一体何を指し、どういう意味なのか────そう問い質そうとしたが、ルガレドからの【念話(テレパス)】で遮られ、セレナは言葉を呑み込んだ。

≪これより、スタンピード前方の魔物を掃討する。向かうのは、俺、リゼ、レナス、ラムル、ジグだ≫

 リゼラたち───前方に向かう仲間たちの了承する旨の【念話(テレパス)】が続けて入る。

≪ディンド、ヴァルト、ハルド、アーシャはここに残り、この場を確保していてくれ。────ディンド、後を任せる≫
≪はっ≫
≪セレナは、適宜、援護を頼む≫
≪解りました≫

 セレナは【念話(テレパス)】を返しつつ、意識を切り替えた。

 今は、戦場にいるのだ。悠長に話している場合ではない。ヴァイスには後で話を聴こう─────そう決める。

 しかし、セレナの決意は────その疑問諸共(もろとも)、辺りに轟いた地鳴りと錯覚しそうなほど大
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