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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十七章―双剣―#3
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ルに視線を走らせると、一瞬エデルと眼が合った。襲撃者に視線を戻したエデルは、両手に持つナイフをそれぞれ構えた。

 それは、リゼラより与えられ───執事服に忍ばせていた、細身で薄刃のナイフだ。そう、カデアが今まさに振るっているナイフと同じもの。

 それを確認したカデアは、エデルに任せることにした。勿論、敵の数を減らしつつも、エデルから意識を離さない。

 エデルを狙う暗殺者たちがナイフを投げるために腕を振り上げたとき────エデルは、器用にも、ナイフを握ったまま腕時計のつまみを押した。

 腕時計から迸った光がエデルを覆う。警戒した暗殺者たちの動きが、寸分、鈍る。

(あれは、装備一式を登録する際の反応…)

 光が収束すると同時に、エデルが踏み出す。エデルは右手のナイフを、すぐ側まで迫っていた暗殺者の胸へと突き刺した。こうして人を殺めるのは初めてだろうに、まったく躊躇が見られない無駄のない動き。

 エデルは、ナイフを抜き出しながら、飛んできた敵のナイフを逆手に持った左手のナイフで弾く。

 そして、間合いを詰めようと踏み込んだ暗殺者の顔面を狙って、抜き出したナイフを投げつけた。一拍遅れて左手のナイフを、追撃のように投げる。

 エデルが連投したナイフを弾き落とすためにその暗殺者が減速したのを横目に、もう一人の暗殺者がエデルに肉迫する。

 丸腰のエデルは慌てる様子もなく、腕時計のつまみに指先を押し付けた。腕時計から発せられた光がエデルを包む。

 両手にナイフを握った状態に戻ったエデルは、光に虚を衝かれた敵に向かって右手のナイフを繰り出した。心臓を刺された暗殺者の身体から力が抜け、両手に握られていた短剣が足元に落ちる。

 エデルは胸からナイフを抜き出した勢いを利用して身体を捻ると、命を失い今にも崩れ落ちつつある暗殺者の腹に回し蹴りを放つ。エデルに蹴られた遺体は、近くにいた残った暗殺者に向かって(なだ)れ込む。

 遺体を避けることに気を取られた暗殺者に、エデルはすかさず両手のナイフを投擲する。2本のナイフは、狙いを違えることなく敵の額を貫いた。

 エデルのナイフを投擲するあの動き────あれは、ラムルとジグが得意とする投剣の技だ。確かに、エデルが参加した数回の鍛練で、ラムルもジグも使ってはいたが─────

(まさか────見ただけで?)

 それだけじゃない。最小限の動きで心臓を一突きするあのやり方は、先程から見せているカデアの動きを真似たとしか思えない。

 だが、それよりも驚いたのは、敵が放ったナイフを弾いたことだ。以前よりもかなり速度を増し、手練れの暗殺者でさえついていけないカデアの動きを捉えていたことといい────エデルは格別に眼がいいのだろう。

 それに───
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