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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十七章―双剣―#3
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いる気配は感じられなかったが、念のため、確認する。

≪はい。配下(アンダラー)カデアの目の前にいる22人で、すべてです≫
≪他に気配はありません≫

 暗殺者が、わざと殺気を放って、正面から全員で攻め込む────暗殺対象に恐怖を抱かせるためのやり方だ。

 そうするよう命じられているのだろう。この悪意に満ちたやり方───タイミングから見ても、差し向けたのはビゲラブナの可能性が高い。緊急会議でルガレドにやり込められたことを恨んでいるに違いない。

(それにしても────舐められたものね…)

 このやり方は、彼我の力量差がある場合でしか通用しない。それを────たった22人で仕掛けるとは。それだけ、こちらを見縊(みくび)っているということだ。

 17年前の───ルガレドの左眼が抉られ、セアラの命が奪われたあの襲撃では、100人以上が投入されていたというのに。

 心の奥底に沈み込んだ────決して消えることのない、大事な主たちを傷つけ奪った者どもへの憎しみ。それは、護りきることができなかった悔いと相俟って────固い決意を築き上げる。

(奴らの好きになどさせない。セアラお嬢様の分まで…、今度こそ────坊ちゃまを護ってみせる)

 暗殺者たちはエデルの問いには応えず────まずは、前方に並ぶ者たちが音もなく動き出した。

 エデルに向かって、幾本ものナイフが放たれる。カデアがエデルを囲うように【防衛(プロテクション)】で壁を作り上げると、阻まれたナイフが次々と地面に落ちていく。

 それが地に着く前に────カデアは取り寄せた抜身のナイフを両手に握って、エデルの側を通り抜けて前に躍り出た。

 瞬く間に一人の暗殺者に詰め寄って、右手に握ったナイフを胸へと突き立てる。細身で薄刃のナイフは、魔物の鞣し革で造られた装備を容易く貫いただけでなく、肋骨の隙間から心臓を刺し貫き────暗殺者の身体が崩れ落ちる。

 カデアという脅威を認識した暗殺者たちは、先に排除することにしたようで、エデルからカデアに目標を変えた。

 【防衛(プロテクション)】を瞬間的に発動させて降り注ぐナイフを───逆手に持つ左手のナイフで繰り出された短剣を受け止めながら、右手のナイフで別の暗殺者の心臓を貫いた。すぐさま引き抜いて、短剣を突き出している暗殺者の胸を衝く。

 磨き上げられた従来の身体能力を【魔力循環】で常時底上げしている上に、【身体強化(フィジカル・ブースト)】によって唐突に跳躍するカデアの動きに────手練れであるはずの暗殺者たちは、まるでついていけない。ろくに抵抗できずに、カデアのナイフに命を散らしていった。

 カデアの気を逸らすためか、暗殺者が3人ほどエデルの許へと向かう。

 カデアがエデ
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