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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#1
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や足元どころか周囲を視認できるくらいには明るい。

「はい、これ」

 同じ焚火に当たっていたエイナが、水の入ったバケツを手渡してくれる。

 ガレスはバケツを受け取って、土で埋めた焚火跡に念のために水をかけながら────ふと現役時代に引き戻されたような感覚に陥った。エイナが傍にいるから、猶更(なおさら)だ。


 目尻の下がった大きな眼と柔らかい栗色の髪から受ける柔和な印象とは裏腹に、大きな弓を背負い、矢筒だけでなく大振りで幅広の短剣を腰に括り付け、鞣革の胸当と肩当で武装した女性────エイナは、かつてガレスが率いていたAランクパーティー『荒野の一滴』のメンバーで、苦楽を共にした仲間だ。

 そして────ガレスの相棒バドの妻でもある。

「何だか、冒険者時代を思い出すわね」
「そうだな」
「ああ…、久々のこの緊迫感────血が(たぎ)るわ」
「………相変わらずだな」

 猛アタックの末にバドと結ばれて、今や三人の子持ちなのに────根本的なところは変わっていない元相棒に、ガレスは苦笑する。

 ガレスとエイナは同郷の幼馴染で、道を分かたれることなく、ガレスのケガでパーティーを解散するまで共に過ごした。

 妹というよりも、弟みたいに思っていたことは口が裂けても言えない。上京してバドに一目惚れして、瞬く間に女となったエイナの変わり様に腰を抜かしそうになったのも、今となってはいい思い出だ。

「お前…、今日はオレの護衛だってこと忘れてないよな?」

 今回、本来なら指揮を任されるべきリゼラはルガレドの下で討伐に専念することになっているため、ガレスが冒険者たちの指揮を執る。

 ガレスは左足に負ったケガが元で現役を引退したものの、そこまで長距離でなければ歩くことに支障はないし、剣術の鍛練は続けている。

 だから、まったく戦えないわけではない。少し離れた敵の許へ全速力で走り込むことはできなくても、襲い掛かって来る敵を返り討ちにすることはできる。とはいえ、それにも限度がある。

 それで、事情を知ったエイナがガレスの護衛を買って出たという次第だ。

 偶にソロで狩りをしていて腕は鈍っていないとはいっても、まだ幼い子供がいるエイナを駆り出すことに気が引けたが────その子供を護るためにも参加したいという彼女を止めることはできなかった。
 子供たちは、ギルドでバドが見ている。



 それから、もう一人─────

「ガレスさん、エイナさん───これ、どこに片付ければいいですか?」

 リゼラより一つか二つ年長の少女が、消す予定の焚火箇所から回収した鉄棒を手に、ガレスとエイナに訊ねる。

 緩やかに波打つ濃紫色の髪に朱金色の双眸を持つ、女性にしては長身ですらりとした印象の
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